第43話 ページ15
僕と獄寺の幼児化騒動からしばらく、季節は夏真っ盛りである。
しかし、夏休みなど存在しない僕たちはクーラーの効いた生徒会室にいた。
夏が明ければまた、体育祭の季節だ。去年の反省点を活かしつつ計画を立てなければならない。
一度経験はしているので、今年は先を見通して早めの準備をしていたのが、幸いした。
さて、本日の業務も終わり祭莉たちとお茶をしていると。
「A、行くよ」
はい、毎度お馴染み大魔王様のご登場でございます。陽葵も恭弥の行動に慣れつつあるのか、お任せください。と見送られてしまった。
「それで、本日のご予定は？」
「夏祭りでのショバ代の回収」
「それ風紀委員の仕事じゃーん。僕は遊ぶ」
ちなみにショバ代は風紀委員会の活動費になるが、生徒会の活動費にはならない。生徒会の活動費は少し特殊だからね。
「別にいいけど、僕が呼んだらすぐ来ること」
「りょーかい」
並盛神社で開催されている夏祭り。出店も多く、沢山の人でにぎわっていた。
とりあえず、一件一件回る恭弥について歩く。遊ぶと言っただけで、誰も別行動するとは言ってないからね。
ただ、面白そうな的屋では多めに遊ぶ。離れ過ぎると恭弥が戻ってきて、強制終了させられるけど。
射的で落とした景品を詰めてもらって、恭弥のところに行くと、
「ショバ代っての風紀委員会にー!!!?」
「おや、問題児トリオだ」
「会長もーっ!?」
「僕はただの付き添ーい。チョコバナナだ。1つちょーだい」
「ほい、400円丁度。サンキューな」
問題児トリオは公民館の修理代の為に出店をしてるんだとか。
じゃあ変わりにこれあげる。と持っていた射的の景品を渡す。
「なっ!?こんなにたくさん……」
「要らないかりあげる。あと、最近ひったくりが多いらしいから、留意するように」
その後も順調に集めていたのだが、恭弥曰く例年より少ないらしい。
原因は多発しているひったくりにあると結論付けた僕たちの横を走り抜ける2人組がいた。
(あれは草食動物と、)
(ひったくり犯、かもね)
ニヤリと嗤いあう風紀委員長と会長なのであった。
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作者名：蒼 | 作成日時：2018年1月22日 16時
