嶺 ページ48
中村：それで…なんで井上くんが…
いつのまにか俺は彼の境遇に同情心のようなものが芽生えていた。
自分のせいじゃない。
他人が引き起こしたことが原因で自分が責任を取らせるように無理矢理働かされて、精神を支配される。
井上：、、、実は大我が死んだ時、責任者の首が切られたんだ。
中村：え、
井上：大我は拳銃を持ち出して研究所をめちゃくちゃにして死んでった。それの修理代とかそういうの全部ソイツが背負って職も失った。
中村：それで…井上くんが。
井上：ソイツは本当にヤバい奴だったけど、研究所には信者の様な奴が居たんだ。ソイツの。それがいつもほく、、、じゃなくて松村さんに指示してる奴。アイツは気に入っていない研究員には簡単に手を出すから誰も逆らえない。
それは…
井上：アイツは俺のことを立派に育てることで首を切られた責任者の気持ちに仇を打とうとしてるんだ。
中村：そんなのおかしっ！
井上：だったらさ！
中村：え、
井上：、、、俺はどうすればいいのかな…嶺亜泣。
中村：え、と。
急に泣き出した井上くんに俺の心は戸惑いを隠せなかった。
１つ下だけど弱みなんて見せない彼が、こんなに荒れ狂っている姿は見たことがない。
中村：瑞稀。
気がついたら俺は瑞稀の体を引き寄せて抱きしめた。
井上：んっ泣。嶺亜…大我みたい…
中村：え、
井上：あったかい。あったかいよぉ泣。
あったかい…それは心がだろうか。
そう言って泣きじゃくる彼のことを見つめる。
小さな頃からなにも知らされずに施設に入れられる。
親の暖かさも知らされないまま、仲良くなった年上はどんどん余所余所しくなる。
中村：苦しいね。
井上：んっ、泣。はあっ泣。
俺に抱きついて狂ったように泣きじゃくる瑞稀の体を抱きしめて涙を親指で拭ってやる。
それでも目からは涙が溢れ出して彼のシャツをどんどん濡らしていった。
戸惑いを隠せない俺に
虚しいくらい儚いチャイムの音が鳴り響いた。
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あおいろ(プロフ) - 皆さんリクエストありがとうございました。少しずつですが、リクエスト参考にお話書いていきます！これからもよろしくお願いします！ (2020年8月12日 18時) (
レス) id: 7095de8d74 (このIDを非表示/違反報告)
あおいろ(プロフ) - Mmeiさん» はい！書かせていただきます！リクエストありがとうございます！ (2020年8月12日 18時) (レス) id: 7095de8d74 (このIDを非表示/違反報告)
あおいろ(プロフ) - matsunatsu0105さん» 了解です！ぽんれあ人気で結構びっくりしてます！リクエストありがとうございます！ (2020年8月12日 18時) (レス) id: 7095de8d74 (このIDを非表示/違反報告)
あおいろ(プロフ) - Ruiさん» お話読んでくださってありがとうございます！うきなすも書かせていただきます。リクエストありがとうございます！ (2020年8月12日 18時) (レス) id: 7095de8d74 (このIDを非表示/違反報告)
あおいろ(プロフ) - 雛さん» 了解です！リクエストありがとうございます！ (2020年8月12日 18時) (レス) id: 7095de8d74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あおいろ | 作成日時：2020年6月28日 21時
