カクテル（JUMP×JUMP） (ページ9)

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拗らせボーイ(ym×in) ページ9

※リアル設定

恋は突然、とはよく言ったものだ。
目の前には瓶と缶の山、どれも中身はすっからかんで。

たまにある、ふたりだけで飲む日はなぜかいつも深い話で盛り上がっていつの間にかベタベタに寄り添って酔ってるんだ。

それが心地よかったし、いつも何を考えてるか分からないこの人と分かり合えたようで嬉しかった。

火照った体と隣接した肌、まともに機能しない思考回路は、不意になんの脈絡もない会話を連れてくる。

「すげぇ気持ち悪いこと言っていい？」
「なぁに？」
「いっかい付き合わない？俺たち」

酒の勢いに任せた人生でいちばんカッコ悪い告白だった。
しかし、そんな俺に微笑んで「いいよぉ」って返事をしたこの人をはじめて俺より馬鹿だと思った。

まじで一瞬にして酔いが覚めた。

翌朝、規則正しい呼吸に揺れるふわふわのきのこ頭が何も覚えていないことを祈る気持ちと、ほんの少しの期待は半々で。

パチりと開いた寝ぼけ眼と目が合ったベッドで、おはようより先に発せられた「やまだ、俺のこと好きだったの？」って言葉には青ざめた。

それに加えて、彼が覚えてる範囲は俺のダッサイ告白だけじゃなく、可愛い「いいよぉ」も含まれていた。しかも無かったことにされなかった。

「こんなイケメン、付き合わなきゃ損だ」
それが理由でも死ぬほど浮かれたし、お互いノリってことでこの状況を楽しむことにした。

いのおちゃんはこれまで通り、俺の事なんて好きでもなんでもない、というか何を考えてるかさっぱりわからなかったけれど、一度もこの関係を否定せずそばに居てくれた。

メンバーやスタッフに隠れて秘密の会話を交わしたり、こそこそと手を繋いでみたり、お互いの家を行き来したりするのがゲームみたいで楽しかった。

そのスリルからか、いつの間にかお互いのぎこちない恋愛感情は徐々に具体的になっていった。

ベッドで柔らかい唇に触れながら背徳感に溺れる。
しかしそれ以上のステップは二人ともなんとなく遠慮していた。

だけど、

「ねぇ、シないの？」

先に核心に触れたのはいのおちゃんだった。

「え、なにを」
「恋人同士でベッドいてわかんない？山田ってまさかどうてい？」

ねぇ？って俺の手を引いて深く沈んでいく。
再び押し当てられた彼の唇は熱かった。

きたー、この展開。
きっかけがノリとはいえ、仮にも付き合ってるんだし、キスもハグもしてるのにその先を全く想像してないなんて、あるわけない。