カクテル（JUMP×JUMP） (ページ11)

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「ていうかさっきさ、ずっと前からって言ったよね」

念願叶って一線を超えた。

深く繋がれば、綺麗な顔が苦しそうに歪むのに、いのおちゃんはもっともっとと腕を回して強請った。

誘われるがまま、何度も求め合って、すっかり空っぽになったのに、寄り添ってお互いの体温を分け合う。片時も離れなくなかった。

「…やまだの癖に記憶力いーね」

ふふ、とまるで観念したような息がかかる。
いのおちゃんは俺の腕の中で小さく笑った。

「…あの日、やまだに付き合わないかって言われて死ぬほど嬉しかった。酔った勢いだろうが、その場のノリだろうが…」

掠れた声でぽつりぽつり、いのおちゃんは語った。

「起きて何も覚えてなくても、冗談にされても、なんでもいいと思ったけど、やまだは律儀だからほんとに付き合ってくれて…夢みたいだった」

「…それって、」

「今まで一度も言えなくてごめん。
俺、やまだのことが好きだ、ずっと前から…」

恥ずかしそうにシーツに顔を埋める仕草が刺さった。
隠せなかった耳が真っ赤で、バレバレなのもとんでもなく可愛い。

俺の方こそ、告白しておきながら一度も口にしなくてごめんね。

「いのおちゃん、顔みたい」

「ふぇ…？」

シーツから引きずり出して、ゆっくり頬に触れる。

「俺、あの日のことずっと後悔したてた」

「……」

「ずっと好きだった人に、誤解させてしまうような告白しか出来なかったこと」

いのおちゃんが驚いて顔を上げる。
柔らかい頬を包み込んで目を合わせた。

「俺も好きだよ、いのおちゃんのこと。ずっと一番に想ってた。」

その場のノリでも冗談でもない。
ずっと拗らせてきた片想いがあの夜爆発してしまっただけだ。

「改めて…俺と付き合ってくれますか？」

「…！」

いのおちゃんが何も言わないので顔を覗き込もうとすれば、ゆっくりと制止される。

「泣いてる？」

「…だって、やまだが嘘みたいなこと言うから…」

鼻をすすりながら、さらに顔を隠そうと俺の胸に擦り寄ってくる。

「ほんとに俺でいいの？」

「いのおちゃんがいいの！」

「〜〜っ、…馬鹿だよ、お前、」

これまで言葉に出来なかった分を取り返すみたいに、ぎゅっと抱きしめた。

「で？返事は？」

「…っ、もう！言わなくてもわかるだろ…」

恥ずかしそうにシーツから出てきたいのおちゃんの唇がそっと俺の耳に寄せられる。

小さく囁かれたお返事の言葉は世界一可愛かった。

Fin.