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俺たちなりでいいよね ページ14

「大ちゃん!まだ入ってこないで!!」


俺が帰宅した音ですっ飛んできたいのちゃんが大慌てで言った。


「ただいま、どうしたの?」

「おかえり。
…小一時間リビング禁止、寝室にでもいて。」


ピシャリ!
閉め出された俺は呆然とした。


本当は、どうしたの?なんて聞かなくても事態はなんとなくわかっている。


甘ったるい匂いと、いのちゃんのエプロン姿。
今日はバレンタインデーなのだ。


気合い、入ってたなぁ…
バレンタインなんて昔は意識してなかったし、いのちゃんだって本来もらう側だし。


俺は気にしたこと無かったけど、付き合って3年目、いのちゃんが急にチョコをくれてから変わった。


「大ちゃん今年本命ゼロでしょ?」


って笑いながら良いとこのチョコを手渡してくれた。


今思うとあの言葉は絶対に照れ隠しだった。
そしてその年は俺がホワイトデーをすっぽかして珍しく怒らせたっけ…


「俺ばっかり好きみたい…」
と泣かせた後悔は大きい。


いのちゃんは意外にもイベントや記念日を大切にするタイプだから。


そのときは謝り倒して、いのちゃんの誕生日をこれでもかと祝って取り返したのを覚えている。


センチメンタルなお姫様には、とびっきりの愛が必要なのだ。


「大ちゃん、きてー!」


お、準備が出来たみたい。


「ハッピーバレンタイン、ってことでパーティー仕様にしてみた」

「え、いのちゃんこれ全部作ったの?」

「あんまジロジロ見ないでよ、」


ロールキャベツとか、ローストビーフとか、かなり豪勢だしどれも手間がかかったろうに。


そして甘ったるい匂いの正体は…


「今年はガトーショコラ作ってみたの」

「うわ、うまそー…もうシェフじゃん」


褒めるとえへへって笑いながら、デザートは食後ね?って冷蔵庫にしまってくれて、二人で食卓についた。


「いのちゃん、これは俺から」


手渡したのはちょっとお高めのワイン。


「チョコじゃないけど、ハッピーバレンタイン」

「わ、ありがとう…」


これだけじゃダメだってわかってるけど、いつも一緒にいると照れくさいんだ。


「…大ちゃんこれだけ?」

「う、わかってるよ。…コホン、」


いのちゃんはずっと俺の本命だから、何年経ってもこういうのはドキドキする。


「…好きだよ、いのちゃん。
いつもありがとう。これからも一緒に居てください。」


精一杯の気持ち。
顔を上げると、そこには大好きなとびっきりの笑顔のいのちゃんがいた。


「はい、喜んで♡」

ホントのことなんて→←そこに君がいるから



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作者名:ららりる | 作成日時:2020年10月4日 21時

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