もっぱら、君ばかり。（ar×in） (ページ15)

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ホントのことなんてページ15

「…大ちゃん、俺の服とってぇ」

薄暗い寝室、まだ息の整わないいのちゃんが少し掠れた声で言った。

「………」

無言で手渡して俺も下着を身に付ける。
いのちゃんに背を向けて横になると、隣からため息が聞こえた。

「大ちゃん、賢者ぁ？」

「う～ん…」

俺の生返事に気だるげなお姫様は寂しそうにふーんと
頷いた。

こういうときはわがままいのちゃんもさすがに黙る。

いのちゃんも男だから俺の気持ちがわかるんだろう。

こないだ、「いのちゃんは賢者になんないの？」って聞いたら、恥ずかしそうに「だって俺、普通と感じ方違うし…無くはないけどそれよりもなんか人恋しくなる感じ。」って言われたときには思わず悶えたけども。

でも俺も本当はわかってる。
いのちゃんが終わったあともイチャイチャが欲しいのとか、無茶させた身体をいたわって欲しいのとか。

だけどそうやって誘われるまま、いのちゃんに触れるとやばいのは俺の方なのだ。

だって事後のいのちゃんて、俺の付けた跡で白い肌が余計妖艶だし、ただでさえとろんとしてる目はいつもよりうるうるになって、たくさん口付けた唇もツヤツヤと俺を誘ってくる。

だから欲望のままにめちゃくちゃにしちゃうんじゃないかと心配で近寄れない。

いのちゃんを傷付けたり身体目当てだと思われたくないから。

俺が事後にいのちゃんと少し距離を取るのは実はそんな理由。

むしろ賢者タイムなんていのちゃんと付き合ってから極端に減ったように思う。

…心底惚れてるってこういうことなのかな？

あとは単純に節操が無いのがガキみたいで恥ずかしいって些細な男のプライドがあったりもする。

「…せめてこっち向いて欲しいんだけど」

当然いのちゃんには言ったこと無いから不安そうに小さい声がする。

うん、俺も今すぐ顔みたいし抱きしめたいんだけど事後の刺激的ないのちゃんにそんなことしたら困るのはいのちゃんだからね？

いのちゃんのことが欲しいけど、大切にしたい気持ちの方が大きい。

そんな葛藤の中、悶々としてる俺を他所についにいのちゃんが我慢できないと言わんばかりに背中へ擦り寄ってきた。

…しまった、上はまだ着てないから素肌だ。

ふわふわの髪がくすぐったいし、もちもちのほっぺは柔らかいし、もう無理。

今すぐ食べてしまいたいくらい。
メインもいのちゃんがいいしデザートもいのちゃんがいい。

俺ってほんといのちゃんのこととなると余裕ないな…