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「私、彼に一度でいいから私のことで感情的になってほしかったんです。だから、殴られたときはどこかでほっとした。
あぁ、ちゃんと彼には私が見えていたんだって、嬉しかった。とても、とても痛かったけど」
「それで、猫を」
「ねこ、そうね。っふふ、猫。
廉は猫を、猫だけに心が揺さぶられていた。」
「ほんまに猫だらけで、あんな飼ってるなんて知らんかったから、驚きました」
「そうね、今日の廉を見てたら、わかるでしょう。廉を心から動かすのは猫だけなんです。」
「そうみたいですね」
「廉は、私が何をしても怒らなかった。
廉のあの部屋に上がった女が何人いるか知らないけど、他の女の痕跡がないか、気が狂ったみたいに探したこともあった。
けれど、廉は何も言わなかったのよ」
「はい」
「でも、猫だけはだめ。撫でるだけでも止められた。でもあの量でしょう。
猫の方からひっきりなしに近づいてくるから、廉は忙しそうでしたよ。
猫を私から遠ざけようとしていつも忙しなく動いてた」
あの小さな部屋に一人でいる永瀬を思った。
会いに行かなければ、とこれほどまで強く思うのは、彼が私にとってやはり友達だからだろう。
栗木さんと別れるとき、本当に永瀬を訴えるつもりなのかと聞くと
「ええ。気が変わってしまわないうちに」
と、清々しく笑って言った。
私はその時栗木さんの笑顔を初めてはっきりと見た。
綺麗だった。
この世で一番愛する男に殴られ、その男を訴えると云う彼女の笑顔。
ひょっとしたら永瀬は、彼女のこの笑顔に惹かれたんじゃないかと思った。
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ふてぃか(プロフ) - 忙しいと思いますが更新待ってます ！ (2019年8月16日 17時) (
レス) id: 6381a07ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琉叶 | 作成日時：2019年3月24日 1時
