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「廉は…水みたいでした。入れ物に合わせてどんな風にでも形を変えた。
会いたいと言えば会ってくれたし、助けてほしいと言えば助けてくれた。
でもね、それは与しやすいのとも違いました。
水の中に手を入れればその形に添うし、斜めにすればその方向に流れていく。
けれど水の中では決して息ができない。
彼といると、彼を自由にできる分、私は不自由でした。
つまり廉は、私のことなんて最初から微塵も愛していなかったんです。
そんなこと最初から気づいていたことなのに。
「危ない」と思った私の予感は悲しいほど当たっていたのに。
彼という水の中で、もがけばもがくほど深みに嵌って、上がれなくなっていった。
廉はそういう私を止めなかったし、廉の周りには「そういう」女がたくさんいたから…
彼自身、麻痺してたんじゃないかな。
なぜ自分の周りにそういう女が集まるのか、彼自身分かっていなかった。
その無自覚こそが、彼の魅力であり、罪だったんです。」
栗木さんが話すたくさんの永瀬の話。
永瀬にどれだけ傷つけられたかについてではなく、
永瀬のことを自分がどれだけ愛しているかについての話。
栗木さんは宝物を見せるような顔で、私を見た。
「夏目さん、あなたが本当に羨ましい。」
「え？」
「彼の…廉のあんなに近くにいて、それでも廉のことを好きにならなかったことが。
私は、馬鹿みたいだけど…
彼の存在を把握して、彼をしっかりと認識していながら、
それでも彼を好きにならない女がいることが、本当に信じられないの。」
「そんな、あほやなんて思いません」
本当に心からそう思った。
私だって、「平野紫耀」に同じことを思うから。
あんな目で見つめられて、この世に彼を好きにならない女がいることが、信じられない。
栗木さんは、顔に貼られたガーゼを何度も撫でながら、なぜ私が永瀬を好きにならないのかと問うている。
自分を殴った男のことを。
「私、馬鹿って言ったんだけど。」
「あ、いや、馬鹿でもあほでも…ぼけでもない。」
くすっと栗木さんは微かに笑った。
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ふてぃか(プロフ) - 忙しいと思いますが更新待ってます ！ (2019年8月16日 17時) (
レス) id: 6381a07ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琉叶 | 作成日時：2019年3月24日 1時
