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話そうと口を開いた彼の、一瞬呼吸を飲みこんだ音まで、鮮明に聞こえた。




「…初めての長編の舞台やって。稽古もリハもなしで、ぶっつけ本番っていうんかな。」

「…どう、いう、話?」

「高校生の役で、恋愛もの、やったんよ。俺それまで、恋愛系の話やったことなくて、すごい、…すごい、楽しみやった」

「……うん」

「俺の、相手役の人は、」




そう言ったきり、「平野紫耀」はなにか苦いものを飲み込んだように言葉を詰まらせた。

は、と息を一瞬吐き出して、私を見た。





「……見た目、ほんまに幼くて」

「うん」

「けど、演技はずっと、俺なんかよりもずっとうまかった。何個も賞とかとってたし、役が憑依、する、タイプやった」

「…そう、」

「俺の、役は。…演じた役は、その人のこと人生で、生まれて初めて好きになるんよ。

どうしたらいいか、分からへんくらい。
好きで、好きで、たまらんって思うねん」

「うん、」

「俺、何回も何回も演じていくうちに、自分がどっちか分からんくなった。」

「どっちか。」

「演技か、そうじゃないんか、」

「……それって、」

「最初は、その人が演じる役が好きなんやろうって、思ってた。演じてるときにだけ会えるから、本番中ずっと俺手ぇ震えてたんよ。」

「うん、」

「けど、だんだん、演技してないときでも、その人とおったら…手が震えるねん。あほみたいに、息ができひんくなるくらい、好きやって思うようになった。」

「……………その人、って、」






私が口を開いたそのとき、彼の携帯電話が鳴った。

彼が携帯電話の音を切らずにいたのも、知らなかった。テーブルの携帯電話は、猫が喧嘩するような音を立てた。





「………。」





彼は電話を見たが、手に取ろうとはしなかった。





「私が聞いた、やかんの音は。」





彼はなにかを思い出すように逡巡して、




「その人。」と言った。









「俺のこと、“しょーちゃん”って呼ぶんよ。
そう呼んでって、言う前から。」






これ以上踏み込んではいけない。と思った。




それでも、聞かずにはいられなかった。









「その人は、平野さんの 、 恋人?」









私は、どうか、

頼むから、電話を取ってくれ、と願った。









違うと言ってくれ、と祈ったが、彼は震える携帯電話を見ながら、苦しそうに顔を歪めた。









「____そう、俺の、恋人。」




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作者名:琉叶 | 作成日時:2019年3月24日 1時

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