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「ただいま__線__駅におきまして、人身事故が発生いたしたました。お急ぎのところ大変ご迷惑をおかけいたしますが、当線はしばらくの間運休を見合わせ_____」



ホームにいた人々が一斉に顔をあげ、携帯電話を手に歩き出す。


延々と繰り返されるアナウンスを呆然を聞きながら、ふと、事故に遭った人は助かったのだろうかと考えた。





私の後ろにいた2人組の女性が、携帯電話を手に「心臓発作らしいよ、」と呟くのが聞こえた。




急死、という2文字が頭を掠めたとき、背中にぞうっと得体の知れない緊張感が走った。






事故に遭ったのは、男性だろうか。

何歳くらいの、人なんだろうか。



もし、「平野紫耀」だったら。







みぞおちのあたりが締め付けられ、途端に息が苦しくなった。




私はいてもたってもいられなくなり、その場で携帯電話を手に取った。

僅かに震える指には、黒と金の絵の具がついている。






会いたい、と思った。

「平野紫耀」が、いつかこんな風に死んでしまうかもしれない、という恐怖は簡単にさっきまでの羞恥心を溶かした。



彼が出るまでの7コールを待つ間、私はホームにそのまま座り込んでしまいそうだった。






「…もしもし。」






その掠れた声を聞いた時、全身の力が抜けて結局その場に座り込んだ。


何人かの人が心配そうに、怪訝そうにこちらを見て足早に通り過ぎていく。






「……Aさん?」

「____会いたい、ねんけど」




ただならぬ私の気配を察しのか「平野紫耀」はしばらく黙った。だが私はひるまなかった。

電話の後ろから、しゅう、という音が聞こえた。





それはきっと、やかんが沸騰する音だった。


はっとしたが、私はその「生活」の音を打ち消すように、もう一度「会いたい」と言った。





彼は、すう、と息を吸って、うん、と言った。


その一言は私にとって何よりも価値のある守るべきものだった。






紛れもなく、彼の声だった。




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作者名:琉叶 | 作成日時:2019年3月24日 1時

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