消失 ページ14
｢…ユン、ジユン！｣
誰かに呼ばれて意識が浮上する。周りが暗くて見えない。誰かの腕の中か膝の上にいるような気がする。そして誰がそんなことをしてるのか分かった。
｢アラン…？大丈夫？｣
アランは何も答えず、私を強く抱き締めた。力が強くて肋骨が軋む。
｢何で…あの時、逃げなかったんだ｣
今まで聞いたことがないくらい低い声で囁く。怒ってる…？
｢目の前に迫ってて…怖くて脚が動かなくて…アランが、助けてくれたんだよね？本当にありがとう｣
さらに力が入って、流石に苦しくなる。掠れたうめき声を聞いてアランはしぶしぶ力を緩めて、私の上半身を地面に沈めた。
あれ？何か違和感が…まさか。
｢アラン…まさか｣
アランに呼び掛けたその瞬間、何か重いものを動かすような音がして、一筋の細い光が差し込む。やがて、完全に光が入り、ダイゴとマノンの顔が見えた。
ああ、私達、崩れた瓦礫の下敷きになっていたんだ。奇跡的に瓦礫が重なって出来た隙間に閉じ込められていたんだ。
｢大丈夫か？｣
｢ああ｣
眩しい光で目が眩み、光量に目が慣れて今の状況を見た瞬間、顔に熱が上るのを感じた。アランの顔がものすごく近い距離にあって、私が地面に横たわっている上にアランがいる。床ドン…！
だが、そんな乙女チックなことを気にしてる場合じゃない。アランはまず自分の身を起こしてから私を引っ張り上げた。その時、アランがうっと呻いて、左肩を押さえた。
｢アラン⁉｣
｢どうした？｣
マノンとフラダリが聞いたが、アランは何事もなかったかのように立ち上がる。
｢大したことはありません｣
｢嘘…！私を庇って怪我したんでしょ？ごめんね、アラン…｣
気にするな、と頭をクシャクシャ撫でられた。でも…。
｢巨石は？｣
みんなが振り向くと遺跡の中央に巨大な穴が…。
｢消えた…⁉｣
レックウザと巨石。一体、どんな関係が…？
｢エネルギーの波動？｣
｢ああ。カナズミの沖合いから微弱ながら検知されている｣
巨石の消失に気付いてから数時間後、フラダリがダイゴに調査結果を伝える。
カナズミシティ…。ダイゴと私は顔を見合わせた。
｢では、こちらは引き続き調査を続行する。アラン、君はカナズミシティに向かってくれ｣
分かりました、と言ったアランにダイゴが僕も行こうと言う。ジユンは心配そうなマノンを見て、肩を抱き寄せた。
すぐに向かえに来てもらえるように手配しよう、とダイゴが私達二人を誘導する。振り向くとアランに耳打ちするフラダリが見えた？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 15人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
藍玉 - 読みました！なんだか、大分雰囲気が変わりましたね。とても読みやすいです！話も続きがとても気になります…！私の意見を聞いてくださってありがとうございました。これからも頑張ってくださいね！ (2016年9月10日 23時) (
レス) id: 2a90760f0b (このIDを非表示/違反報告)
juliet(プロフ) - 藍玉さん» ざっと研究して、行間を空けて見ました！行間を空けてみるだけで結構読みやすさに差が出ますね…！是非ご確認ください！ (2016年9月10日 22時) (レス) id: 294ccbef1a (このIDを非表示/違反報告)
juliet(プロフ) - 藍玉さん» 貴重なアドバイス、ありがとうございます。実は自分でも詰めすぎなのは百も承知なのですが、一話でどれだけのことを書きたいというノルマをある程度決めてまして…。そのノルマに追いつけるように書いたところ、このザマに…。他の作品など参考にして研究してみますね！ (2016年9月10日 5時) (レス) id: 294ccbef1a (このIDを非表示/違反報告)
藍玉 - julietさん» はい、もちろんそのつもりですよ！…えぇっと、続けて私がコメントしてすみません。…生意気ながらアドバイスなんですが、少し文章が詰め過ぎていると感じるので行を空けてみてはいかがですか？今のままでもとても素敵な作品ですが。…あ、私はシリアスも大好きですよ！ (2016年9月10日 0時) (レス) id: 2a90760f0b (このIDを非表示/違反報告)
juliet(プロフ) - 藍玉さん» お返事遅くなってすみません！コメント、ありがとうございます。最近はシリアスが強めなので甘い展開を入れるのが難しいのですが頑張ります！読者の皆さまがどう思っているのか気になっていたので参考になりました。これからもご愛読宜しくお願いします！ (2016年9月9日 17時) (レス) id: 294ccbef1a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：sweetspring | 作成日時：2016年9月5日 16時
