42.＿＿ ページ7
nagami side
「あ、A？えっと、そうやな…今どこ？」
近くのカフェの名前が聞こえる。
「そう。なんかあったって聞いたけど…それは今、そっちに行ったら話せる？」
悩むかと思ったら、案外すぐうんと聞こえた。小声で野川に「僕も行っていい？」と言った。
「永見が心配なんやて。永見も行っていい？」
こっちは、ちょっと沈黙があって、うんと聞こえた。そのあとすぐ、誰か他の女芸人さんいたら連れてきて、とのことだった。
「分かった、今から行くけど、なんかあったら電話してな」
そう伝えて、野川は電話を切る。野川と目を合わせて、お互い頷いた。
you side
野川が来る、永見も連れて。
黙り続けるわけにもいかないし、仕方ないけど、この自分の失態を知られたくないな…。
永「あ、おった」
うっすらと声が聞こえて、顔を上げる。入り口のほうに野川、永見、そしてますみちゃんが見えた。やんわり手を振る。
野「なんや、思ったより元気そうやん」
ま「どないしたんですかAさん！」
A「心配かけてごめんな、こんな、来てもらって」
ま「全然いいんです！あ、アイラインぐちゃぐちゃですよ…」
A「んー、あんなぁ……今な雑誌の仕事させてもらってるんやけど、」
私の話を、静かに聞いてくれる。永見も何も発さないままだった。
A「端的に言うと、その担当の人に、迫られた」
野「は？」
ま「え、そ、それは、無理やり…的な？」
A「うん。急に両腕掴まれて、最悪」
ま「犯罪じゃないですか…。え、いつ？部屋に連れ込まれたとか？」
A「ほんとついさっき。劇場でよ。考えられへん、気持ち悪い」
野川からはぁーっというため息が聞こえる。思わずそちらへ顔を向けた。
野「すまん。なんか、変な気は感じてた」
A「え？」
野「打ち合わせでもずっとAしか見てへんし、俺らに興味あるっていうよりAに興味があるんやろうなって一瞬思ってたのに、くぁー何もできんくてすまん」
A「いや、なんで野川が謝んのよ。私の方が軽率だったんよ…もうちょっと警戒してれば良かった。昨日も夕食誘われたから行っちゃってて…」
二人して頭を掻いて、沈黙が流れる。そこをますみちゃんが切り開いた。
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里佳子(プロフ) - 夏子さん» 初めまして。こちらこそ、そんな風に言っていただけるなんて…嬉しい限りです。ありがとうございます！！長編が終了しましたので、ちょこちょこ短編を書く予定です。見て頂けると幸いです！ (10月5日 16時) (
レス) id: 9634fe61f2 (このIDを非表示/違反報告)
夏子 - 初めまして。完結おめでとうございます。完結を嬉しく思うとともに寂しくもあります。言葉や雰囲気が綺麗で、それでいて少し苦く、とても引き込まれる素敵な作品で大好きです。また里佳子様のお話が読めることを願っています。お身体ご自愛くださいませ。 (10月4日 22時) (レス) id: 17842af8c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：里佳子 | 作成日時：2023年7月20日 23時
