40.＿＿ ページ5
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「どういうことですか？」
ああ言えばこう言う。話が通じなくて、私もむっとした声を出してしまった。
「仕事だからじゃれてる。その理論ならプライベートはじゃれなくてもいいですよね。よく芸人仲間さんがあげている写真では皆さん距離が近いですけど、あれは無理してるってことですよね？」
「…それが織部さんに何の関係があるのでしょうか」
「プライベートでもいいんだったら、僕だっていいじゃないですか…？」
「織部さんは、私と近い距離でいたいんですか？」
「はい」
断言されて、鳥肌が立つ。織部さんとは仕事仲間だけど、織部さんは一緒に舞台に立つ芸人・戦友じゃない。
「織部さんは最近知り合ったばかりの、雑誌編集社の方です。じゃれあいの一部が世に出ることはありません。私がそうしてるのはある程度付き合いが長くて、そしてそのじゃれあいが多少需要があるからです」
Twitterに上げればファンの方は喜んでくれることが多い。もちろんそのためだけじゃなく、ただ一緒に呑んで話すことが楽しいからやってるんだ。
こんなこといちいち説明しなきゃならないんだろうか。
「ではそれ以上の関係をAさんと望みます」
…やっぱり。おかしいと思った。
だとしても、変じゃない？
もし私のこと好きなら、そんな言い方しなくない？
芸人で女だからってなめんなよ。
脳内でブチ切れていたが、仕事で関わりのある相手だ。冷静に、冷静に、、。
そう思いながら口を開いたとき、
両腕をぐっと掴まれた。
反射的に振り切ろうとしたけどできなくて、織部さんの顔が近付いてくる。
頑張って首を捻って、織部さんの唇は私の耳のあたりに落ちた。
蹴りを膝に入れる。しっかり入って、手が離れた。
どうしよう、どこに、。
逃げたい。一刻も早く劇場から出たい。あの人から離れたい。
荒い息を出しながら階段で下に行く。唇が触れたところを左手でごしごしと擦る。
くそっ、くそ、隙に入り込まれた。
「ぐぇっ、」
「あっ、」
無我夢中で走っていると、誰かにぶつかってお互いこける。後ろを振り返ると、そこには永見がいた。
なんで、こんなときに。
「え、え、なんで泣いてんの」
「へ、」
言われて目元に手をやる。確かに涙が出ていた。気づかんかった。
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里佳子(プロフ) - 夏子さん» 初めまして。こちらこそ、そんな風に言っていただけるなんて…嬉しい限りです。ありがとうございます！！長編が終了しましたので、ちょこちょこ短編を書く予定です。見て頂けると幸いです！ (10月5日 16時) (
レス) id: 9634fe61f2 (このIDを非表示/違反報告)
夏子 - 初めまして。完結おめでとうございます。完結を嬉しく思うとともに寂しくもあります。言葉や雰囲気が綺麗で、それでいて少し苦く、とても引き込まれる素敵な作品で大好きです。また里佳子様のお話が読めることを願っています。お身体ご自愛くださいませ。 (10月4日 22時) (レス) id: 17842af8c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：里佳子 | 作成日時：2023年7月20日 23時
