60.終 ページ25
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永見は目を細めて私を見つめてくる。また体温が上がってきた。
「…Aってウソつくん下手なん知ってる？」
「え、」
「ふ、はは、」
どきりとして低い声を出すと、永見に笑われる。
なんだか楽しそう…。
「分かりやす。ほんとのこと隠してますーって顔に書いてんで」
「うう、書いてへんわ…」
「そういうところがかわいいって思うわ…」
「っ、やめ、やめてな…」
やっぱり私分かりやすいのか…。
がっかりすると共に、そんなことを言われてもう永見のほうを向けない。
「…もうちょっと、近づいてもいい？」
「、だめです。もう十分近い」
「えぇ、…抱きしめたいんやけど…」
「もうほぼその距離です」
「実際はしてへんやん」
掛け合う、が、永見は折れにくいことを知っている。
「…じゃあ、今日はそれだけ、な。あんま近くおると、脳が止まるから」
「…、…止まらせてやろうと思ってるけど、」
「こわっ！わ、私のこと好きなら配慮して、」
「…分かりました」
制限をかけてどうにか折れてもらう。嬉しいけど、あまり一気に色々なことが起こると処理しきれない。
そう思いながら、意を決して、両手を広げる。
待つのも色々としんどいので、布団にダイブするかのように永見に当たっていった。
「うっ、い、勢い」
「、ながみ、あったかい」
「…、そらな、ドキドキしてるから」
そう言いながら、私の背中に手を回す永見。
ぎゅっと力を込められる。
「よろしく、お願いします」
「こちらこそ…」
数十秒、抱き締めあって、そっと離れる。
多幸感でいっぱいだった。
けれど、いつまでもここでこうしてはお店の迷惑にもなる。
「永見、そろそろ、」
「…んー、」
もごもご喋りながら、永見の顔が近づく。
ため息が頬にかかって、反射的に肩が揺れた。
コイツ言うこと聞くつもり無いなと判断して、永見の頬をばちっと両手で掴んだ。
「いだっ」
「永見っ、帰んで！」
「えぇー…」
「なんかしようとしてたやろ！配慮してくれへん永見には、肩パンします！」
「こわい…、」
「甘えてくれてるのは分かってるけど、私も処理しきれへんから…少しずつ、な？」
むくれた顔をした永見だったが、こくんと頷いた。
「永見のこと大切にしたいから…、しっかりと、色んなこと受けとめさしてな」
「…うん、それは僕もやわ」
どちらからともなく、両手を絡めて握り締める。
それは同期の中に愛が加わった固い握手だった。
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里佳子(プロフ) - 夏子さん» 初めまして。こちらこそ、そんな風に言っていただけるなんて…嬉しい限りです。ありがとうございます！！長編が終了しましたので、ちょこちょこ短編を書く予定です。見て頂けると幸いです！ (10月5日 16時) (
レス) id: 9634fe61f2 (このIDを非表示/違反報告)
夏子 - 初めまして。完結おめでとうございます。完結を嬉しく思うとともに寂しくもあります。言葉や雰囲気が綺麗で、それでいて少し苦く、とても引き込まれる素敵な作品で大好きです。また里佳子様のお話が読めることを願っています。お身体ご自愛くださいませ。 (10月4日 22時) (レス) id: 17842af8c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：里佳子 | 作成日時：2023年7月20日 23時
