57.＿＿ ページ22
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「最初はそういうの面倒くさくて…逃げようと思ったけど、Aは僕のこと考えて、それで好きになってくれたんやから、逃げるのはちゃうなって思って」
「あ、ありがとう、それで十分！」
永見がどう考えていたのか教えられることで心拍が上がる。
これ以上望むなんて端から無理だったのかもしれない。
「や、最後まで聞いて？」
「え、えぇ…、勘弁して…！」
「…じゃあ話し方変えるわ。Aは落ち着きがない」
「えぇ…」
急にディスられて驚く。永見は私に何を話したいんだろう。
「要領良いのに、少しでも突っ走ると周りが見えなくなってる。そんで転んで、やっちゃったって落ち込むのに、また繰り返してる」
「う…」
「Aのはつらつとした性格は周りにも元気を与えてるし、僕もすごいなって昔から尊敬してる」
「…」
「コミュニケーション力も高いし、人脈が広いのはええことやねんけど…だからこそ危なっかしい。好まれるから、織部さんみたいな人も近寄ってくる」
「はい…」
「…で、それは、そう、Aを責めようとは思ってないねんけど…」
「永見…？」
拳を宙でゆっくり動かしながら、最後はぶつぶつと話している。
「放っておかれへんって、思った」
「…？」
「傷付くAを二度と見たないし、誰彼構わず近づいていくAを見るのも嫌や」
「、えっと…？」
「…僕だけを見てほしい」
心臓がまた急加速する。
なんでそんなこと。
「よく…分からんけど…、私はずっと永見しか見てへんけど…」
「の割には、男と二人きりでご飯に行ってるやん2回も」
「…」
「いや、何今の言い方！Aのこと、自分の所有物みたいな…」
永見が慌てている。こんな永見はあまり見たことがない。
ふう、と深く息を吐いて、永見はもう一度私を見る。
「…好き、です、Aのこと」
「え、」
ここの個室だけしん、と音が無くなった。
がやがやしたお店の音がずっと遠くに聞こえる。
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里佳子(プロフ) - 夏子さん» 初めまして。こちらこそ、そんな風に言っていただけるなんて…嬉しい限りです。ありがとうございます！！長編が終了しましたので、ちょこちょこ短編を書く予定です。見て頂けると幸いです！ (10月5日 16時) (
レス) id: 9634fe61f2 (このIDを非表示/違反報告)
夏子 - 初めまして。完結おめでとうございます。完結を嬉しく思うとともに寂しくもあります。言葉や雰囲気が綺麗で、それでいて少し苦く、とても引き込まれる素敵な作品で大好きです。また里佳子様のお話が読めることを願っています。お身体ご自愛くださいませ。 (10月4日 22時) (レス) id: 17842af8c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：里佳子 | 作成日時：2023年7月20日 23時
