47.＿＿ ページ12
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「…ありがとう。そんな風に思ってくれてたのは、知らんかった」
「…怖かったやろ」
「え？」
永見が、一歩近づいて、目の前にいる。
「いくらAでも、怖かったはずや」
「…ん、まぁ…」
「無理せんで。あのクソ野郎って、吐き出し」
優しい声。
永見に頼りたくないのに、じわりと涙が浮かんでくる。
「…そう、ほんま、クソ」
「うん」
「あれきっと、わざと酒の入ったデザート頼んで、酔わす気やったんや」
「え、」
「体調悪くさせて、迫ってきて、ほんま気持ち悪い。劇場で、私のホームで、あんなこと、」
「…、…。よく、逃げた」
大きな手のひらが、頭にぽんと置かれる。ぼろぼろと、涙が溢れ出てくる。
「頑張った」
「…、うん、頑張った。きれいに蹴り、入ってんで」
「さすがA」
「格闘技系に転職しようかってくらい見事やった」
「Aのおらんお笑い界なんてつまらんのやけど」
その言葉を聞いて、心臓がきゅっとなる。それは同期としての言葉だ。分かってる。
それに、いつまでもここで話していられない。お互い明日も仕事だ。永見はより忙しい。
「ありがとう。話聞いてくれて。けど、やっぱり永見にボディガードは頼めん」
「…練習、さして、」
「は？」
「僕、ボディガードやってみたいねん」
「あはは、漫才の入りやないんやから」
「でも、守らせてよ」
抑えて。自分を、抑えて。
願ってもない言葉だけど、こんなところで永見を求めて、何になる。
「永見は優しいな」
「優しさ、とか、同情、とか、じゃないで」
「分かってる」
きっと正義感だろう。
それを好意として受け取れたらどれだけ嬉しいのか。
でも、違うって分かってるから。
「他の人に頼むから、大丈夫」
「…、でも、今日は送らせてや」
「うーん、だから二人きりやと私が緊張するから嫌。誰か一人入れて三人とかなら…」
言ってる途中で、永見の頬が膨らんで、私を少し睨みつけている。
え、なにその表情。
「じゃー楽屋戻って誰か連れて来ようやー」
「あ、うん」
変に伸びた話し方に違和感を持つ。ヤな言い方になったかもしれないけど、こっちの気持ちも分かって欲しい。
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里佳子(プロフ) - 夏子さん» 初めまして。こちらこそ、そんな風に言っていただけるなんて…嬉しい限りです。ありがとうございます！！長編が終了しましたので、ちょこちょこ短編を書く予定です。見て頂けると幸いです！ (10月5日 16時) (
レス) id: 9634fe61f2 (このIDを非表示/違反報告)
夏子 - 初めまして。完結おめでとうございます。完結を嬉しく思うとともに寂しくもあります。言葉や雰囲気が綺麗で、それでいて少し苦く、とても引き込まれる素敵な作品で大好きです。また里佳子様のお話が読めることを願っています。お身体ご自愛くださいませ。 (10月4日 22時) (レス) id: 17842af8c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：里佳子 | 作成日時：2023年7月20日 23時
