46.＿＿ ページ11
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暗闇に、電灯が一つ。
私と永見は微妙な距離感で立っていた。横でも、真ん前で向き合ってるわけでもない。
「永見さ、」
「うん」
「私が永見に告白したの忘れたん？」
ゆっくり呼吸をしながら聞く。
「ううん」
「…なら、彼氏役やるなんて、ちょっと酷やない？そんなんされても、私嬉しないよ」
声を少し大きくして、言った。永見は私のこと好きじゃないのに、それで彼氏役されても、辛いだけ。
「びっくりしてん。Aがあんなボロボロに泣いてんの、初めて見て」
「それで？」
「…その変な人のせいで、Aが傷付けられんのは嫌やから。だから少しでも…」
「同情ありがとう。でもな、私はまだ永見のこと好きなんよ。でも永見はそうじゃない、のに、ボディガード的役割としても、近くにいられるのは切ないで、結構」
永見は黙る。直接好意をぶつけられるほうが嫌だろう。これでいい。
「あんな？私も女子やから、近くにいたらどんどん好きになってしまうんよ。そんなん求めてないやろ」
「…」
「手繋ぎたーいとか、永見の色んな表情見たーいとか、思われんのど…」
「随分お喋りやん」
捲し立てる私をすぱりと切る。永見のこと好きやけど、だんだん腹が立ってきた。
「その、Aが僕を見てたように、僕もAのことは知ってるつもりやで。わーって勢いで突っ走って、すぐ転ぶ。それが僕ら同期の活力にはなってるけど、Aやったら絶対、織部さん？振り切れたはずやん」
「は？」
「Aの性格やったら、その人が近づく前に気づけたはずやってこと。もらった仕事や、誰にも負けんって若干ムキになってたんちゃう」
「注意力が欠落しててすまんな！それに仕事も大事やし、私たちに興味持って仕事依頼しましたって言われたら、みんな張り切るやろ！」
ヒートアップしてしまう。しかし、永見はふぅと息を吐いて、頭をぐしゃぐしゃと掻いた。
「違う。ごめん、責めたいわけちゃう。僕やって、Aが傷付けられて腹立ってんの。それは分かってな…」
眉毛が下がって、眉間にもしわが寄っている。
苦しそうな、そんな表情を、私も初めて見た。
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里佳子(プロフ) - 夏子さん» 初めまして。こちらこそ、そんな風に言っていただけるなんて…嬉しい限りです。ありがとうございます！！長編が終了しましたので、ちょこちょこ短編を書く予定です。見て頂けると幸いです！ (10月5日 16時) (
レス) id: 9634fe61f2 (このIDを非表示/違反報告)
夏子 - 初めまして。完結おめでとうございます。完結を嬉しく思うとともに寂しくもあります。言葉や雰囲気が綺麗で、それでいて少し苦く、とても引き込まれる素敵な作品で大好きです。また里佳子様のお話が読めることを願っています。お身体ご自愛くださいませ。 (10月4日 22時) (レス) id: 17842af8c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：里佳子 | 作成日時：2023年7月20日 23時
