37.気付いた頃には転ぶ寸前 ページ2
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「どうぞ、完成です」
「えっ、出来てる！見てええんですか！」
「もちろん」
織部さんにお誘いいただき、一緒に食事に来ていた。
高級の度合いが分からないが、きっと高級なお店。
食事が落ち着いた頃、織部さんが鞄から雑誌を取り出して私にくれる。
「うわっ、良い！」
「はは」
「…わっ、良い感じ！」
「語彙力がどこかに行ってますよ、Aさん」
織部さんの笑い声が聞こえる。編集がとにかく可愛くて見やすい。
野川の行きつけ紹介も楽しそうで、何より私と同じようにビジュアルを良くしてもらっていた。それがまた笑える。
「ありがとうございます！文のほうは買ったらじっくり読みますね！」
「それ、お渡しします」
「え、あ、ええんですか？ちなみに野川のももらえる感じで…？」
「あぁ…すみません、Aさんに渡すのしか用意してなくて…」
「ならこれ、野川と一緒に読みます！」
そう言って笑うと、織部さんは少し眉毛を下げた。
どういう意味の反応か分からない。考えるために止まったが、織部さんの表情はすぐ元に戻った。
「ごめんなさい、お願いします」
「あ、いえいえ、！」
「失礼いたします。モンブランでございます」
野川への申し訳無いの顔か、と納得したうちに、急に店員さんが現れてモンブランを二つ置いていく。
「あ、れ、頼んでない…」
「僕が頼みました。ここのモンブラン美味しいんですよ」
「あ、そうなんですか。スイーツ好きなんで嬉しいです！」
「良かった。どうぞ召し上がってください」
可愛くデコレーションされたモンブランにテンションが上がる。いただきますと言って、勢い良く口に運んだ。
じわりと広がる、お酒の味。
「あ、これ、お酒入ってるんですね」
「そうなんです。ほんのり感が良いですよね」
「そ、そうです…ね…」
ほんのり、というより、自分には結構ダイレクトに感じる。
しかし、出された手前残すのも失礼か。もう1杯飲んでるし、なんか最近酔いやすくなってるから、迷惑かけないように気をつけないと。
「そう言えば、宣伝ありがとうございました」
「？」
「発売のツイートしてくださっていましたよね？」
「ああ！しました！」
昨日雑誌の宣伝ツイートをしていた。織部さん、そんなところまで見ているんだ。
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里佳子(プロフ) - 夏子さん» 初めまして。こちらこそ、そんな風に言っていただけるなんて…嬉しい限りです。ありがとうございます！！長編が終了しましたので、ちょこちょこ短編を書く予定です。見て頂けると幸いです！ (10月5日 16時) (
レス) id: 9634fe61f2 (このIDを非表示/違反報告)
夏子 - 初めまして。完結おめでとうございます。完結を嬉しく思うとともに寂しくもあります。言葉や雰囲気が綺麗で、それでいて少し苦く、とても引き込まれる素敵な作品で大好きです。また里佳子様のお話が読めることを願っています。お身体ご自愛くださいませ。 (10月4日 22時) (レス) id: 17842af8c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：里佳子 | 作成日時：2023年7月20日 23時
