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――そして、ひたすら勉強を続けて数年が過ぎ……。
再び同じクラスになった3人は、アーシェングロット先輩がいるタコ壺の周りをリーチ兄弟が泳ぎながら世間話のように言う。
『となりのクラスのデブ人魚が急に激やせして彼女が出来たんだってー』
『かわりに、彼自慢のテノールが酷いしゃがれ声になったそうです』
『へぇ、そう』
『別のクラスのボサボサのクセ毛に悩んでいた人魚もサラサラで綺麗な金髪になったとか』
『代わりに、速く泳ぐための大きな尾びれが無くなった』
『ふぅん、なるほど』
不思議な出来事を聞き流すアーシェングロット先輩。
だけど、リーチ兄弟はそれを見て妖しく笑う。
『ねえ、アズール。ぜんぶ君の仕業なんでしょう?』
『……僕の?なぜ?』
『そんな強大な魔法、能天気な魚たちには到底使えません』
『タコちゃん、ずーっと魔法の勉強してたじゃん』
『……ふっ。ふふ、ふふふ!ははは!!そうですか』
リーチ兄弟の言葉に、アーシェングロット先輩が笑う。
隠す気もなく笑う彼に、2人の目がさらに妖しく輝いた。
『まさか、もうバレてしまうなんてね』
『じゃあ、やっぱり?』
『ああ、そうさ。僕はついに完成させた。この魔力を込めた契約書。これにサインさえ取り付ければ、どんな能力でも相手から奪うことができる……その名も、『
灰色の世界でも輝いて見える契約書。
これが、彼の執念によって生み出された最強の魔法。
『今度は僕がこの魔法でアイツらを跪かせてやる。お前らの長所は、全部僕のものだ!!アハハ!!!アハハハ!!!』
3人しかいない教室中に響くアーシェングロット先輩の哄笑。
それをリーチ兄弟は、愉しそうに見つめていた。
――僕は、1秒たりとも忘れたことはなかった。
――僕をバカにしてたヤツら。
――いじめたヤツらの姿を。
アーシェングロット先輩にとって、いじめっ子たちの姿は脳裏に焼き付いていた。
ユニーク魔法を完成させたのも、全てはこの復讐のため。
――そして時間をかけて観察してきた。
――ヤツらの弱み、悩み……僕は、全部握っている!
なんという執念の強さ。
いじめっ子にとって、いじめられっ子をいじめた記憶など綺麗さっぱり忘れるが、彼はその執念によって復讐を果たしていく。
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作者名:ブロッサム | 作成日時:2020年12月22日 15時