【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる10 (ページ17)

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「ほぁ～……でっけぇ魚……こんなに食べきれねぇんだゾ～……ぷしゅるる……むにゃむにゃ……」

専用ベッドで寝ているグリムは相変わらず大きな寝言を言っていて、蹴飛ばした布団をかけ直す。
バスケットをテーブルの上に置き、一息つく。

「さて、そろそろ寝ましょうか」

ふわぁ、と軽くあくびをしながら布団に潜り込もうとした時。
鏡が白く光りだした。

「鏡が光ってる……？」

あの時と同じ現象に目を見開き、ゆっくりと鏡のほうへ近づく。
近づくと鏡は白く光り、鏡面が灰色に染まる。
その時、トントンと鏡の向こうから誰かがノックしてきた。

『……の、……かい？』

そして、聞こえてきた。
鏡の向こうから――人の声が。

『そこに……誰かいるの？』

鏡に浮かびあがる何かの動物のようなシルエット。
あまりの出来事に言葉を失っている間に、鏡はまた強く輝きだし元の普通の鏡に戻る。

鏡に映っているのは、寝間着姿の私と鏡合わせになった部屋の内装。
だけど、あの時のノックも声も全部本物だ。

「鏡から声が……？今のは一体なんなの……？」

自分自身でさえ理解できない現象に、私は呆然としばらく鏡の前に立ち尽くした――。

翌朝、ベッドで目を覚ますもどうやって布団の中に入ったのか覚えていない。
未だ寝ているグリムを起こさないように、ゆっくりと鏡の前に立つ。

鏡は光ることも、向こうからノックすることも声がかけられることはない。
普通の鏡と変わらないそれに、私はゆっくりと鏡面に手をつけて呟く。

「鏡……あなたは、一体なんなの……？」

そう問いかけるも、当然だけど鏡は沈黙するだけだった。