EPISODE3-36 重要フォトグラフィー！ ページ14
アズール先輩の黒歴史暴露がなんとか落ち着き、ジャックが本題を切り出してきた。
「とにかく。写真を持ってくるって約束は果たしたぜ」
「ま、その前に契約書も砂にしちまったんだけどな」
「だが、俺はやっぱり盗みはしたくねぇ。アズール。あんただって、非合法なことはしない主義なんだろ。責任取って、元の場所に返してこいよ」
「一緒に返しに行きましょう。私も付き合いますから」
アズール先輩もさすがにジャックの言葉に反論する気はないのか、しおらしい態度で頷く。
「……わかりました。でも、どうか画像ソフトで僕を消した写真にこっそり差し替えさせてください……」
「諦め悪っ」
「は、往生際悪いぜ」
この期に及んで写真を編集する気満々でいるアズール先輩に、私とレオナ先輩は呆れる。
どんだけ昔の自分を消したいのよ……。
「そうですよ。記録は大切なものですから」
「ねーねー、いつ行く？みんなで行くんでしょ。エレメンタリースクールの遠足以来のアトランティカ記念博物館、楽しみだなー」
あれ、これみんなで行く流れなの？
そう思った時、グリムが地面に鼻を近づけて匂いを嗅いでいた。
「……スンスン、スンスン……」
「ん？グリム、何地面に鼻擦り付けてんの」
「オレ様のグルメハンターのカンが言っている……この辺りにトリュフのごとき真っ黒なご馳走が落ちていると！」
「お前は豚かっ！」
エースがそうツッコむと、グリムはあの黒い石を掲げるように持ち上げる。
「ふな゛っ！黒い石みーっけ！グルメハンター・グリム様の鼻は誤魔化せねぇんだゾ〜！」
「……黒い石だと？」
「いっただっきまーす！はぐっ！」
レオナ先輩が訝しげに反芻したと同時に、黒い石はグリムの口に入った。
「う〜ん、これは……こってりとしていながらパンチのきいた塩辛さもあり……マニアにはたまらないお味！なんだゾ！」
「あっ、お前。また拾い食いしてるのか！？」
「もう止めるのも馬鹿馬鹿しいっつーか。やっぱモンスターの味覚ってよくわかんね」
すっかり慣れてしまった様子で肩を竦める2人。
だけどレオナ先輩は神妙な顔つきをしていた。
「…………」
「どうしましたか？」
「……あの狸、いつもああして黒い石を拾い食いしてるのか？」
「いつもじゃないけど……」
「レオナ先輩、どうかしたんすか？」
「べつに。なんでもねぇよ」
レオナ先輩はそこで会話を終わらせたけど、それが余計に私の中にある不安を膨れさせた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 198人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ブロッサム | 作成日時：2020年12月22日 15時
