【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる10 (ページ1)

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EPISODE3-33 動転ヒステリック！ページ1

オクタヴィネル寮に戻ると、辺りは目でわかるほど変貌していた。
美しい青の世界は黒と紫で覆われ、地面には意識を失い倒れている生徒。
その中で、アーシェングロット先輩は叫び続ける。

「そこのお前の雷の魔法、その隣のヤツの運動能力。全部、全部僕によこせぇ！」
「ひぃい～～～～～っ！」

スカラビア寮生が悲鳴を上げながら倒れる。
その相手から金色に輝く何かが出てきて、アーシェングロット先輩がそれを吸い取っている。

「アズールくん、みんなからナニを擦ってんスか！？吸われたヤツらが次々と倒れていく！」
「アイツのユニーク魔法、契約書を介さないと他人から全ての能力を吸い取っちまうようだな。契約書自体が、魔法の効果を制御する役割を果たしてたんだろう」
「えぇ！？怖すぎじゃないスか？」
「ああ。そんな禁術クラスの魔法、反動であっという間にブロットの許容量を超えるぞ」
「レオナ先輩！ラギー先輩！」

防衛魔法でアーシェングロット先輩の餌食になっていない彼らの元へ駆け寄ると、また別の生徒が犠牲になる。
アーシェングロット先輩の足元にある金色の塵。あれが、砂になった契約書なのだろう。

だけど……契約書を砂にされたからって、ここまでするものなの？
言い方は悪いけど、これは今まで騙し奪ってきたアーシェングロット先輩の自業自得なのに。

「アズール！貴方なにをしてるんです！」
「うわ、何これ、どーなってんの？」
「げっ、なんだよこの騒ぎ！？」
「アズールが暴れてる……のか！？」

遅れて駆けつけたみんなも目の前の惨状に言葉を失っている。

「アイツ、寮生たちの力を無理やり吸い取ってるみてぇだ」
「ヒェェ…レオナ！さてはオマエがいじめたんだゾ！？」
「俺のせいかよ。お前らが契約書を砂にしろっつったんだろ」
「そうですけど、こうなるなんて誰も想像つきませんよ」

私たちが色々と話しているのを聞いて、こちらに気づいたアーシェングロット先輩が恍惚な笑みを浮かべた。

「ジェイド、フロイド、ああ、やっと戻ってきてくれたんですね。そこのバカどものせいで、僕の契約書が全て無くなってしまったんです。だから、あなたたちの力も僕にください。ねえ、僕にくださいよぉ！」
「お待ちなさい。貴方のユニーク魔法は強力すぎるゆえに、契約書無しには制御できないはず。そんなことをすればどうなるか、自分が一番よくわかっているでしょう！」

アーシェングロット先輩をジェイド先輩が諫めると、彼は聞く耳を持たない。