【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる34 (ページ10)

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今のバウルさんは、もう戦いどころか歩くことすら困難な状態だ。
それでも頑なにここを離れる気のない彼に、セベクは苦渋を滲ませながら言った。

「シルバー、グリム、A。お前たちは先に行け」
「「「えっ！？」」」
「僕はここに残り、バウル様と共に『銀の梟』どもの足止めをする」
「何だって！？いくらお前とバウル殿でも……それに、これ以上親父殿と距離が離れれば何が起きるか、俺にもわからないぞ」
「迷っている暇はない！！！リリア様は大きな卵様を抱え、不自由な状態でいらっしゃる。さっさと行け！そして守れ！お前の大切なものを！僕は……僕の大切なものを守る！！」

そうはっきり告げるセベクに、誰もが口を挟めなくなった。

「セベク……」
「フン。僕を馬鹿にするなよ、シルバー。早々に敵を片付け、貴様らに追いついてみせる」
「……わかった。行こう、A、グリム！」
「はい。……セベク、ちゃんと追いつきなさいよ！」

そう言って、私たちはセベクとバウルさんを置いてリリアさんの元へと走った。

No side

Aたちが見えなくなったのと同時に、『銀の梟』が装甲掘削機と共に現れた。

「悪路で遅れていた装甲掘削機が到着した！もはや貴様らに未来はない！」
「抜かせ！図体が大きいばかりのガラクタなど、僕の敵ではないわ！バウル様、どうぞお下がりください」
「人間……貴様、どうしてそこまで……！」

人間への不信感のせいで、セベクの行動について理解できていないバウル。
でも、それでいい。今の彼は、セベクの知るバウル・ジグボルトではない。

「僕がここで戦っても、現実は何も変わりません。でも……僕にも譲れないものがある」

それだけ告げると、セベクは警棒を取り出し構える。

「『銀の梟』ども！このセベク・ジグボルトが相手だ！さあ、かかってこい！」

夢の世界で未来の祖父を守るべく、セベクは稲妻の如く駆け出した。