【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる34 (ページ49)

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EPISODE7-95 交流ジェントル！ページ49

風景がまた『揺籃の塔』に変わる。
旅から戻ってきたリリアさんが卵に話しかける。

『……もうあれから80年か。『そう遠からず星に還るかも』と言われてた割に、粘ってるじゃねぇか。良い子だ』

リリアさんの言葉に、卵は嬉しそうに点滅した。
それがまるで「褒めて褒めて！」と言っているかのようだ。

『なあ、いい加減卵の中にいるのも飽きたんじゃねぇのか？何が気に入らなくて、そこに閉じこもってんだよ。卵から出てきたら、絵本だって読んでやるし、おしめだって替えてやる。……だから、なあ、さっさと出てこいよ』

切実に願うリリアさんに、卵は沈黙を保った。

『……………………………………はぁ。そうそう、最近新しい魔法を覚えたんだ。この歳になってだぜ？人生何が起こるかわからないよな。ほんの少しだけ物の記憶を再生できるんだけどよ……この魔法、案外くだらない記憶ばっかり見せやがるんだ。
　肝心な情報だけをより分けられるほど上手くはできてないらしい。でも、今まで以上に調査が捗るのは確かだ。次の旅では今度こそ、お前を孵す方法が見つかるかもしれねぇ。それじゃあ、俺はもう行く。じゃあな、マレウス』

『揺籃の塔』を去ろうとするリリアさん。
その時、卵が激しく点滅した。

『……ん？お前、今何か言ったか？』

思わず振り返り話しかけるも、卵は黙ったままだ。

『いや、卵がしゃべる訳ないだろ……何言ってんだ俺は。疲れてんのか？……でも、そうだな。少しだけ、疲れたかもしれない。だからもうちょっと……ここで休憩していくとするか』

そう言って立ち去るのをやめると、卵は嬉しそうに点滅した。

『このあいだ赤竜の国に住むという竜を訪ねたんだが……』

そうしてリリアさんは、土産話を聞かせながらいつもより少し長く卵のそばにいた。

場面が変わり、雪山。
ふわふわな雪が降る中、リリアさんは道中で蹲る。

『さ、寒い……手も足も凍りそうだ……！いかん、眠く、なってきた……こんなところ、で……』

あまりの寒さで意識が朦朧としてきたリリアさん。
そのまま雪の中に倒れる彼に、何かが近寄ってきた。

『ワンワン！』
『おい、あんた！大丈夫かい！』
『う……？』

現れたのは、ソリを引く犬を連れた老人。
倒れたリリアさんに向けて、必死に呼びかけていた。

『子どもじゃないか。テディや、ソリでうちまで運ぶぞ』
『ワンワン！』

老人の言葉に元気よく返事したテディは、リリアさんを乗せたソリを懸命に引っ張った。