EPISODE7-88-5 銀の騎士、現る ページ15
No side
闇夜の森の中を、リリアは卵を抱えながら走っていた。
雨のせいでぬかるんだ地面に足を取られそうになるも、腕の中にいる卵を思い出しては必死に踏ん張る。
しかし、その逃避行もそろそろ限界だ。
「いたぞ、ヴァンルージュだ！捕らえろ！」
「ぐあっ！」
「倒れたぞ！囲め、囲め〜！」
鉄の者が放った矢が、左肩を射抜いた。
その拍子に倒れると、リリアの周囲を銀の鎧で囲まれる。
「……これが竜の懐刀と恐れられた茨の国の右大将か」
「まるで地に落ちて飛び立つことも叶わぬ小さな蝙蝠だ。哀れで涙が出てくる」
「さあ、観念してその卵を渡せ。そうすれば命だけは助けてやろう」
「キシャ―――ッ！！」
鉄の者たちの言葉に、リリアは妖精語で抵抗する。
それを威嚇もとい拒絶と捉えた鉄の者は、腰にさした剣を抜く。
「この期に及んで往生際の悪い……よほど力づくで奪われたいらしいな！騎士の情けだ。一撃で終わらせてやる。はああ―――ッ！」
「…………ッ！！」
迫りくる白刃。咄嗟に卵を抱え、己の体を盾にしようとした。
しかし、甲高い音と共に刃は防がれる。
「「「！！？？」」」
彼らの間に現れたのは、見慣れない衣装を着た少年。
だけど、顔は『銀の梟』にとっては見覚えがあるものだ。
「お前は、夜明けの騎士……いや違う！誰だ貴様は！名を名乗れ！」
鉄の者が叫ぶと、闖入者は毅然とした態度で名を告げる。
「……俺の名は、シルバー。これ以上、貴様らの好きにさせはしない。さあ――剣を取れ！」
警棒を構えたまま、シルバーはそう叫ぶと同時に『銀の梟』に向けて吶喊した。
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ブロッサム(プロフ) - ありがとうございます！ (1月7日 16時) (
レス) id: 2d3621a68f (このIDを非表示/違反報告)
only07(プロフ) - ブロッサムさんのお話一気読みしてしまいました！陰ながら応援しています〜。 (1月7日 16時) (レス) @page18 id: 621931103c (このIDを非表示/違反報告)
ブロッサム(プロフ) - 誤字報告ありがとうございます！ (1月7日 16時) (レス) id: 2d3621a68f (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 訂正があります。18ページのシルバーのセリフの【休憩】が【旧姓】になってます。 (1月7日 16時) (レス) @page18 id: 82bb734709 (このIDを非表示/違反報告)
ブロッサム(プロフ) - お待たせしました！無事更新です！ (1月4日 16時) (レス) id: 2d3621a68f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ブロッサム | 作成日時：2023年12月1日 0時
