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EPISODE7-41 珍妙フェノメノン! ページ44

「とにかく、外に出てみようぜ」

グリムが部屋のドアに駆け寄り、ドアノブを回すもガチャガチャと音を鳴らすだけで一向に開かなかった。

「ふなっ!?ドアが開かねぇんだゾ!また建て付けが悪くなっちまったのか?」
「いえ、これは……むしろフェイクドアみたいな感じよ」

でも、この部屋にそんなドアはなかった。
どういうこと?

「よし、じゃあ窓から……ぎゃーっ!?」
「な、何!?どうしたのよ」
「ま、まままま窓の外に何かいるんだゾ!!でっけぇおばけが……って、ん?」
「これ……絵?」
「窓にヘンテコな絵が描いてある!誰だ!?オレ様たちのオンボロ寮に落書きしたヤツは!」

そう怒るグリムの足元から、ぎゅむっと音がした。

「ん?なんか今踏んだような……」
「キャンキャンキャン!!」
「うわ!!犬!?」
「グルルルル……キャンキャン!!」
「犬……じゃなくて、犬みたいなオットマン!?」

オットマンの姿をした犬は、グリムに踏まれて不機嫌になっていて、部屋中を走り回る。

「見たことねぇ生き物!変なの……。なんてこんなのがオンボロ寮にいるんだゾ!?」
「待って。ここって……!」

そこで、ようやく気付いた。
この部屋は、オンボロ寮であって、オンボロ寮ではない。
内装は似ているが、ここは――オンボロ寮に似た部屋だ。

「んん?この部屋……よく見たらオレ様たちの部屋じゃねぇ。フンイキが似てるけど、違う部屋なんだゾ」
「家具の配置もところどころ違うし、いつも寝てるベッドがないわ」
「じゃあ、ここはどこなんだ!?」
「わからない……けど、部屋の中を調べてみましょう」

ここで頭を抱えても仕方ない。
ひとまず、この部屋を調べたんだけど……。

「あっ!A、机の上を見るんだゾ!」
「机の上って……」

グリムに言われて丸テーブルを見ると、そこにはパキッ!パキッ!とくるみを割るくるみ割り器があった。

「このくるみ割り器、勝手に殻を割って中身を出してくれるんだゾ!しかも、殻を自分で食べてる。コイツにとっては殻のほうが御馳走ってことかぁ?」
「そうみたいね。中身を出すというより、殻を出すのが目的みたい」
「パーティーの料理でハラいっぱいだけど……せっかく出してくれたもんを食わないのは失礼になるんだゾ」
「あなたの場合はむしろ食べすぎ――」
「いただきまーす。もぐもぐ……うーん、香ばしいお味」
「って、もう食べてる!」

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ブロッサム(プロフ) - 誤字報告ありがとうございます! (6月1日 14時) (レス) id: b52f0561ce (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 訂正があります。42ページの【森】が【盛り】になっていました。 (6月1日 13時) (レス) @page42 id: 7e57969e52 (このIDを非表示/違反報告)
ブロッサム(プロフ) - ああ、確かに似てますね! (5月29日 16時) (レス) id: b52f0561ce (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 来ました!更新!メインストーリーを読んでいると、鬼滅の刃無限列車編みたいだなぁと思いました。 (5月29日 14時) (レス) @page35 id: 7e57969e52 (このIDを非表示/違反報告)
ブロッサム(プロフ) - 来ましたね!更新が再来週の月曜日になりますが、しばらくお待ちください。 (5月20日 16時) (レス) id: b52f0561ce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ブロッサム | 作成日時:2023年3月11日 2時

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