＊ ページ26
リリアが魔石器の猛威を振るう。
膨大な魔力の斬撃に、さすがのシルバーも防御で精一杯になる。
「ぐはっ！！」
「さあ、お前もマレノアたちのもとへ送ってやる。覚悟しろ！ははは……あははははは！！」
復讐に酔い、声高い哄笑を上げるリリア。
しかし、リリアの姿は黒くなり、やがて溶けて消える。
「親父殿の姿が、黒く溶けていく。そうか、あれは俺の心が作り出した『闇』……」
たとえ『闇』だとしても、敬愛する養父と本気に殺し合ったことに変わりない。
ああ、なんて悪夢だろうか。
「……悪夢、か……」
「ぐぶぶぶぶ……！」
「………もう……疲れた……。『闇』よ、俺を沈めてくれ。もっと深い、覚めない眠りに……」
シルバーの言葉に、『闇』が喜々として呑み込もうと動く。
『闇』のさらなる深淵へ身を委ねようとした時だ。
『……立て……』
「この声は……」
『立ち上がるのだ』
「親父、どの……？」
自分の知る、リリアの優しい声が聞こえてきた。
『敵に背を向けて逃げても構わぬ。掟破りの卑怯な手を使っても構わぬ。ただひとつ、生きることを諦めるな。――立て！シルバー！己の足で！』
「……うぐ……うう……！うわあああ！！！」
覚めたくないのに、現実に戻りたくないのに。
その声が、シルバーに生きる道を指し示す。
振り払うように『闇』を切り裂くと、『闇』は残念そうな声を出して消えていく。
「はぁ、はぁ…………」
『見事じゃ、シルバー。それでこそ…………』
最後まで言い切らず、リリアの声が消えた。
「この声も、俺が都合よく作り出した幻なのか……？俺は、どうしたらいい……？」
仇の息子として討とうとするリリア。
生きるよう指し示すリリア。
どちらがシルバーが作り出した幻なのか、わからなくなる。
どっちつかずのまま、シルバーは『闇』の中を彷徨った。
そして魔女は傍観に徹する→←EPISODE7-82 追憶ペアレント！
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ブロッサム(プロフ) - 脱字報告ありがとうございます！ (11月29日 14時) (
レス) id: 2d3621a68f (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 訂正があります。今日更新したシルバーのセリフのどうしてのうが抜けてます。 (11月29日 14時) (レス) @page48 id: 1893bd7a09 (このIDを非表示/違反報告)
ブロッサム(プロフ) - 誤字報告ありがとうございます。 (11月19日 15時) (レス) id: b52f0561ce (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 訂正があります。36ページのセベクのセリフにある【師弟】が【指定】になってますよ。 (11月19日 15時) (レス) @page36 id: 48a8f87c53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ブロッサム | 作成日時：2023年10月28日 20時
