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「トリックスターはオンボロ寮の監督生として、唯一の寮生であるグリムくんを迎えにきたのさ」
「わざわざ言い直すなよ。聞こえてるに決まってるだろ。嫌味だろ、嫌味……」

ルーク先輩が言い直すと、シュラウド先輩はどこか馬鹿にするような態度でまくしたてる。

「いるよね。実力もないくせに、ヒーロー気取りで感情にまかせて突っ走る迷惑なヤツ……。君らと違って僕は忙しいんだよ。おサムい友情ごっこに付き合ってる暇ないの」
「なら……あなたを殺しにきた、という理由なら?」

そこでシュラウド先輩の顔が固まる。
周囲の温度が下がるのを感じながら、私は右手の人差し指でこめかみを軽く突く。

「あの襲撃のせいで、私は月虹の魔女の記憶を継承した。その影響なのか、いま私の頭の中じゃ亡くなった同胞の声が聞こえてるのよ。『殺せ』『裏切り者を許すな』『報復を』……ってね」

私の話を聞いて、本人もその辺りを詳しく知っているせいか、どんどん顔色が悪くなる。
振るえる唇をぐっと噛みしめる姿は、まるで襲いかかってくる苦痛に耐えているようだった。

「ああ、心配しなくても私はあなたをどうこうするつもりはないわよ。ただ何事もなく、平和的に解決できればいい。少なくとも、『S.T.Y.X.』がなにもしない限り、私もなにもしない」
「……僕にそれを信じろと?」
「信じないなら結構。……少なくとも、必要のない苦労をしたいなら、遠慮なくやるつもりよ」

言外に『また嘘をついたら今度こそ許さない』と伝えれば、シュラウド先輩は深いため息を吐いた。
ただでさえ、あんな個性が強すぎる彼らの面倒も見ているから、それはもう嫌というほど疲れるだろう。

悪いけど、同情しないわよ。
これはあなたたちの自業自得なんだから。

「………………わかった。僕だって、祖先の過ちを繰り返すほど馬鹿じゃない」
「そう。ならよかったわ」

そこで冷たい空気が霧散して、エペルが何度も深呼吸した。
どうやら無意識に息を止めていたみたいだ。

「でも、これからどうするの?このままナイトレイブンカレッジへ強制送還?」
「そうしたいところだけど…………………………オルト、ちょっとこっちに」

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時間の止まったリス - ついに今日ツイステ、新しい章の解禁ですね! 続編も楽しみにしてます! 夢主ちゃんの毒舌には毎回笑ってしまいますwww (2022年3月3日 7時) (レス) id: d39a98933d (このIDを非表示/違反報告)
ブロッサム(プロフ) - ありがとうございます(*≧∀≦*) (2022年2月13日 19時) (レス) id: 9aaad4e273 (このIDを非表示/違反報告)
時間の止まったリス - い、いま、全部読んだんですが、最高すぎます!!! 毎日読ませていただきます(上から目線っぽく感じてしまったら本当に申し訳ありません)!! (2022年2月13日 19時) (レス) @page5 id: d39a98933d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ブロッサム | 作成日時:2022年1月19日 20時

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