＊ ページ5
夢を見た。
歓声を浴びるヒーローの夢を。
ハデスの企みによって、人間になる薬を飲まされたヘラクレス。
運良く神の力を残した彼は、人間として地球で生きていた。
18年の時が流れ、彼は実の父がゼウスであることを知る。
ゼウスの神殿で父と再会したヘラクレスは、どうすれば神に戻れるか問うと、石像越しでゼウスは言った。
神の国に戻るには、ヒーローにならなければならない。
そう教えられたヘラクレスは、愛馬ペガサスと共にヒーロー専門のトレーナー――ピロクテテスことフィルに特訓を受け、ヒーローとしての活動を始める。
ヘラクレスの生存を知ったハデスは、彼を亡き者にしようと次々に怪物を放つがすべて退治される。
次第にヘラクレスの名は広まり、立派な銅像やグッズが売り出されるほど人気者になっていく。
それを見て悔しがるハデスの横で、とある事情で彼の手下として身を落とした女性――メグがくすくす笑いながら言った。
『ゲームオーバーのようね。どんな変化球も通用しないんだから』
『そうかぁ。フフフフフッ、きっとあいつにも弱みがある。誰にだって一つや二つはあるだろ。ワンダーボーイにもな』
諦めの悪いハデスを見てため息を吐こうとした時、彼はヘラクレスの絵が描かれた壺をメグに持たせながら囁く。
『ワンダーボーイの弱みを探ってきてくれよ。ご褒美はすごいぞ…お前がのどから手が出るぐらいに欲しがってるものだ。そうさ自由だ』
それを聞いた直後、メグの手から壺が滑り落ち、粉々に砕け散った。
(それは、本当の自由なの？)
弱みにつけこむのはよくない。
だって、私たちも、そのせいであんな目に遭ったのだから――――
目を開ける。
眩しい光と共に、鮮烈な青い炎の髪が視界の端で揺らめいだ。
「き、君らさあ、リアルはゲームと違って気軽に生き返れたりしないんだから……あんまり無茶な真似はしないほうがいいと思うよ？代理とはいえ、ボスが拙者じゃなければ、みんなまとめてあの世行きでしたぞ」
「洒落にならないこと言うんじゃないわよ元凶……」
思わずそう言い返しながら、私は起き上がる。
どうやら他の2人はとっくに起きていたようだ。
「すごい…………海の中に、街が……！」
「ああ……私たちは本当にたどり着けたんだね」
眼前に広がる、白亜の建物の数々。
予想を反した風景を前に、ルーク先輩はこの島――私たちの因縁の地の名を言った。
「嘆きの島に！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 141人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
時間の止まったリス - ついに今日ツイステ、新しい章の解禁ですね! 続編も楽しみにしてます! 夢主ちゃんの毒舌には毎回笑ってしまいますwww (2022年3月3日 7時) (
レス) id: d39a98933d (このIDを非表示/違反報告)
ブロッサム(プロフ) - ありがとうございます(*≧∀≦*) (2022年2月13日 19時) (レス) id: 9aaad4e273 (このIDを非表示/違反報告)
時間の止まったリス - い、いま、全部読んだんですが、最高すぎます！！！ 毎日読ませていただきます(上から目線っぽく感じてしまったら本当に申し訳ありません)！！ (2022年2月13日 19時) (レス) @page5 id: d39a98933d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ブロッサム | 作成日時：2022年1月19日 20時
