【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる Event Story8 (ページ40)

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今までオーバーブロットした人たちを思い出していると、ジャミル先輩は話を続ける。

「それぞれの寮が、寮生全員力を合わせてハロウィーンに取り組んでいる。お客さんたちに『あそこの寮はイマイチだった』なんて、言われたくはないだろう？」
「そーそー。これはメンツの問題だから……」

フロイド先輩がそう言った時だ。

「あいたっ！」

ドンッ！と音と共に可愛らしい声が出た。

「ん？」
「女の子が体当たりしてきたんだゾ」
「うわ、ちっちぇー！小魚にくすぐられたのかと思った」
「ひっ！ごご、ご、ごめ……ごめ、なさ……っ！」

女の子はフロイド先輩を見て、怯えたように謝罪する。
まぁ……誰だってこんな身長の高い人にぶつかって、上から見下ろされたら怖いのは当然だ。

「フロイド。お前のセガでかすぎて子どもが怯えてるぞ」
「確かに。2倍ぐらい身長差のあるフロイド先輩に見下ろされたら、すげー迫力ありそうっす……」
「もしこれがもっと小さい子だったら、確実に大泣きコースね」
「えーマジで？ごめんごめん、しゃがめばいい？」

そう言って、フロイド先輩は女の子の目線に合わせるようにしゃがんだ。
顔が見えてほっとしたのか、女の子は安堵の表情を浮かべた。

「……んで小魚ちゃん。よそ見しながら歩いたら危ないよー？」
「ごめんなさい。でも、あの……見つからなくて……」
「もしかして、なにか探してるのか」
「お母さんとはぐれちゃった？」
「ううん、そうじゃなくて……スランプラリーが終わったよって伝えるところを探してるんです」
「……つまりスタンプラリーの台紙の提出場所ってこと？」
「それって、どこだったかしら……？」
「あ、それオレ知ってるわ。おいでよ。案内してあげる」

そう言って、フロイド先輩は女の子と手を繋いで歩き出す。
……あの人、自分より小さい子相手だと優しいのね。ちょっと意外だったわ。
いつもの彼を知っている面々は、今の姿を見て内心驚きながらも後を追った。