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というか、初対面でおどかしにきたくせに、自分で自分を『行儀の良いゴースト』とは言わないで。
「イタズラ好きのゴーストは、たいてい菓子を備えてやれば退散するからな。じゃが、中には手に負えん悪さをする悪霊も紛れている場合がある。悪さをするゴーストにはAたちも覚えがあるじゃろう?」
そう言われて、ゴーストたちを見た私たちは悪くないはずだ。
「目には目を、歯には歯を。ゴーストにはゴーストを。仮装は悪霊を逆に怖がらせて追い払う魔除けの意味をもつ装束でもあるのじゃ。…………っちゅーのは大昔の話で、現代は楽しいからコスプレをしとるってカンジじゃな!」
「いきなり安っぽくなったんだゾ!」
「その辺は私の世界と同じなのね……」
日本のハロウィーンも、みんな仮装という名のコスプレを楽しんでいた。
まさか異世界でもそんな感じとは……正直、かなり驚いた。
「そうそう、深く考える必要はないよ」
「わしらがゴーストになるよりずーっと昔からハロウィーンはそういうものなんじゃ」
「生者たちだって、実際にゴーストが見えるわけじゃないけど、10月31日は思いっきりハメを外す。難しく考えず、『ハロウィーンはみんなで過ごす楽しい日』だと覚えておくれ!」
「ふんふん、楽しい日…………って、『ゴーストが見えない』?なんでなんだゾ。みんな帰ってくるんだろ?」
「他じゃゴーストは見えないものなの?」
この世界のゴーストは目に見えるものだと思っていた私たちに、リリア先輩が説明してくれた。
「強い未練や目的によってこの世にとどまる者もいるが、本来ゴーストとはあの世に行くべき者。ゆえに現世に漂うゴーストはひどく不安定な存在じゃ。ナイトレイブンカレッジのように魔力濃度の高い場所以外では、その姿は見えぬ」
「えええっ。てっきり学園の外にもゴーストはうろちょろしてんのかと思ってたんだゾ……」
「ある程度霊感があれば見えるかもしれないけど……よくよく考えたら、ゴーストってそういうものよね」
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作者名:ブロッサム | 作成日時:2021年6月9日 15時