＊ ページ44
エペルに頼まれ、私はマルヤさんたちのほうへ行き、イデア先輩好みの手軽で栄養が効率的に取れるスープからひとつを選ぶ。
それを持って、私はイデア先輩に渡した。
「どうぞ。フルーツスープです」
「え……果物のスープって冷たいのでは？」
「確かに冷製スープが一般的ですが、この辺りでは温かいものもあるんですよ」
「ずずずずず―――――。ほぅ……本当に温かいですぞ。ドライフルーツが入ってる。スープは合理的でいいね。食べる時に切ったり、混ぜたり、噛んだりしなくてすむから楽チン！
退屈な食事を早く終わらせるためにも効率よくエネルギーを摂取したいですからな。味には興味はないけど、外が寒かったから出来立ての温かい料理は助かるね。体温の低下は、論理的な思考の妨げになるし」
「こんなところでも、イデアサンはイデアサンですね……」
「ま、お気に召してなによりだわ」
フルーツスープを飲むイデア先輩の近くで、セベクとジェイド先輩、そしてグリムがものすごいスピードで料理を消費していく。
あの三人、一体どこにそんな量を入れているのよ……。
「むしゃむしゃ……どれも美味い料理ばかりだ。取り分ける皿が足りないな」
「テーブルの上に使っていない食器が1枚ありますよ。どうぞこちらを……」
「あ！すみません、そのお皿は誰も使っちゃいけないんです」
ジェイド先輩が空のお皿を手に取ろうとした時、エペルが慌てて制止をかけた。
「ん？もしや非常に高価な食器なのか」
「ううん。お皿自体は、普通のものなんだけど……使わない食器を食卓に置くのは、豊作村に伝わるまじないなんだよ」
「出た！おまじない！」
この村、風習とかおまじないが多すぎよ。
「昔、あるお家の散らかった食卓を見かねた旅人がその一かに美味しい食事を振る舞ってくれた……そんな伝説から『いつもテーブルの上に皿を置いておくと食べ物に困らない』って言われてるんだ。だからそのお皿は、そのままにしておいて」
「わかった。では別の容器に料理をよそって食べることにしよう」
「僕がよそいましょう。自分の分もとろうと思っていたところです」
「オレ様のもくれ！」
「たくさん食べますね。セベククン、ジェイドサン、グリムクン。豊作村の名物料理が、みなさんに気に入ってもらえて僕も嬉しいです！」
未だご馳走に夢中な3人を見て、エペルはそう言って笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 11人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ツイステ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ブロッサム(プロフ) - 誤字報告ありがとうございます！ (2023年3月1日 21時) (
レス) id: 998eeca7c7 (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 続き、15ページエペルのセリフ『開催する年』が『開催する都市』になっています。 (2023年3月1日 17時) (レス) id: d9657aee6a (このIDを非表示/違反報告)
ミア - いくつか訂正があります。イベントストーリー25、42ページ『型紙』が『髪型』になってます。 44ページのイデアのセリフ『しゃあなし』が『じゃあなし』 イベントストーリー26、5ページのエペルのセリフ『モルン山で採れる木』が『気』 に (2023年3月1日 17時) (レス) @page22 id: d9657aee6a (このIDを非表示/違反報告)
ブロッサム(プロフ) - ありがとうございます！ (2023年2月23日 15時) (レス) id: 998eeca7c7 (このIDを非表示/違反報告)
NA - 面白いです！続きも頑張ってください！応援してます! (2023年2月23日 15時) (レス) id: 9c547ad202 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ブロッサム | 作成日時：2023年2月21日 1時
