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「ふむ……わしはもう決めたぞ。うってつけの奴がいるわい。いい社会勉強になるじゃろうな」
「社会勉強?どういうことなんだゾ?」
「くふふ、それは当日までのお楽しみじゃ」
社会勉強……そう言われて当てはまるのは、セベクとシルバー先輩。
あの2人は学園に来るまで茨の谷を出たことないし、リリア先輩が連れてきても不思議ではない。
でも……何故か私はこの2人ではないと思った。
直後、脳裏に浮かんだのは立派なツノを持った、唯一あだ名で呼んでいる私の友だち。
「……まさか、ね」
翌日。
いつもより早い時間に起きた私は、すでにルンルン気分になっているグリムの後ろを歩く。
右手にいつものバスケット、左手にはオンボロ寮で見つけた古びた旅行鞄。
旅行鞄には着替えや歯磨きセットだけでなく、昨日話を聞きつけたヴィル先輩がくれたスキンケア用品なども入っている。
待ち合わせはいつもより早いからと、ジャミル先輩から目覚まし時計5個も渡されたけど、肝心のグリムは目覚まし時計が鳴る前に起きた。
いつもこうならいいと思いながら、幸先のいい旅の出だしを切った。
「おはようございます」
「ちゃんと時間通りに来たんだゾ!お祭りが楽しみ過ぎて、目覚まし時計より早起きしちまった!それなのに、次から次へと目覚まし時計が鳴って……うるさくて仕方なかったんだゾ、ジャミル!」
「そうか。Aに、余計な手間をかけさせて、悪いことをしたな」
「大丈夫ですよ。私も正直、グリムが待ち合わせまで起きるか不安だったので」
「オレ様にあやまれー!」
ジャミル先輩が私に謝ったのを見て、グリムがそう抗議するが無視した。
だってそう思ったんだから仕方ないでしょ。
「グリムが早起きした気持ち、わかるぜ!オレもワクワクし過ぎて、昨日は、なかなか寝付けなかったんだ!ジャミルもだいぶ遅くまで、起きていたな。興奮して寝られなかったのか?」
「そんなわけがないだろう。今日の準備をしていたんだ。荷物の確認と、スケジュールの再調整。故郷への連絡……カリムが寝ている間にな」
「なんだよ〜。言ってくれればオレもやったのに!」
「…………………はあ。いいんだ。それが俺の役目だからな」
「やっぱりジャミルは頼りになるぜ!」
……あのホリデーで色々ぶちまけたけど、2人の関係は相変わらず。
でも、以前より今のほうがいいと思えるのは、きっと気のせいではない。
そう思いながら、まだ来ていないメンバーを待つのだった。
EPISODE1-4 バッテリー100%!→←EPISODE1-3 幸先のいい旅の出だし
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作者名:ブロッサム | 作成日時:2021年11月11日 17時