＊ ページ27
「そんなの絶対、接待プレーでしょ〜」
「なるほど……その可能性はあるかもな」
「苦労性だよね〜」
「お前も人のことは言えないだろう」
「えー？なんのこと？」
ハーツラビュル組はなんか身内話しているが、私はホリデーで見たジャミル先輩の記憶を思い出した。
きっとジャミル先輩の両親のせいよね……ただの子どもの遊びですら、勝ちを譲らないとダメとか、少しやりすぎよね。
(家族仲、悪くなければいいけど)
他所の家庭事情に口を挟めないけど、少なくとも私より不仲じゃないことを祈る。
「動物たちが散歩したがっていると言って、キリンや象をカリムが檻から出したこともあった」
「あった、あった！初めてのことに、動物たちは大興奮していたっけ！みんな生き生きしてたよなあ」
「街にまで動物が出たら、大パニックになるところだ！逃げた動物を檻に戻すのが、どれだけ大変だったが……使用人総出で動物たちを押さえこむことになって…」
「それは……大変でしたね」
「昔から苦労していたんだね、ジャミルくん」
「知らぬは本人ばかりとはよく言ったものだ」
「動物が逃げ出したくらいでパニックになるとは、街の方は警備体制が不安だな」
「マレウスくん……そこ、心配するところじゃないよ」
ツノ太郎はなんで警備体制に興味を向けてるのよ。
そんなに気にすることなの？
「でも今は檻なんてねーじゃねーか」
「……それをきっかけに、動物たちの飼育環境が見直されて檻が取り払われたんだ」
「あ、それが放し飼いの経緯ですか」
「おう。今はみんなで楽しく過ごせてるんだ。よかったよなー！」
笑顔でのほほんと言ったカリム先輩に、ジャミル先輩はがっくりと肩を落とす。
……うん、わかるわ。相手が自分たちの苦労を知らないのって、結構クるものがあるわよね。
「ジャミルくん……お疲れ」
「過労死しないように祈っておきますね……」
じゃないとこの人、本当に過労で倒れてそのままあの世に行きそう。
「あ！楽しく散歩している間に、オレの家に着いたぞ！」
カリム先輩の一言で、私たちはようやく公園を出たことに気付く。
そして、目的地であるアジーム邸が目の前に現れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ツイステ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ブロッサム | 作成日時：2021年11月11日 17時
