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ツノ太郎の衝撃発言に全員が叫ぶ。
そのせいで車体が軽く揺れて、運転手が驚いてバックミラー越しから私たちの様子を確認していた。
すみません、大丈夫ですから!
「茨の谷には、機械仕掛けのものはほとんどない。それに飛んだ方がよほど早いからな。わざわざ地を這う機械など使う必要は無いと思っていたが……乗ってみると、広いし、なかなか快適だな。悪くない気分だ。これならば、お前達がよく車を使うのも合点がいく」
「この車が特別なだけなんだが……」
「普通の車はこれよりもっと狭いわよ」
「初めて乗ったのが、こんな高級車なんて、レアな体験だよね〜」
まあ、ツノ太郎の初の車体験が上手くいってよかったと思おう。
「それにしても熱砂の国に着いた時は、暑さでどうなることかと思ったゾ!」
「エアコンが効いた車内で、ゆっくり出来るのは、カリムくんのおかげだね♪」
「……でもちょっと、冷房が効きすぎじゃないか?」
「たしかに、少し寒くなりました」
「そうか?オレ様には、ちょうど良いくらいなんだゾ」
「グリちゃんはほら、フカフカだから」
そうよね、グリムの毛って意外とフカフカなのよね。
「この国は外が暑いから、部屋の中じゃ冷房の温度を低めに設定しておくのが常識なんだ!」
「そのため、寒暖差で体調を崩すことも多いんです。皆さんには寒すぎたようですね」
「ならば僕が火を噴いて温めるか?」
「「「!?」」」
「やめて。火だるまになる」
「あはは〜!マレウスはおもしろいことを言うな!」
ツノ太郎の提案に3人が驚き、私はすかさず制止をかける。
カリム先輩は笑っていたけど、あれ絶対本気ね。
「……マレウスが言うと、冗談なのか、本気なのか、判断がつかないな」
「ヒヤッとしたせいか余計に体温下がった気がするよ」
「運転手に車内の温度を少し上げてもらいましょう。ちょっと待ってください」
ジャミル先輩はさっそく運転席まで行くと、運転手の人に話しかける。
するとさっきまで冷たかった温度が少し上がったのを感じた。
「……ふぅ、だいぶ過ごしやすくなってきたな。ありがとう、ジャミル」
(なんとか火だるまなるのは回避できてよかった……)
車で移動するだけでも騒がしいことに、私は内心苦笑するのだった。
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作者名:ブロッサム | 作成日時:2021年11月11日 17時