【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる Event Story16 (ページ15)

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EPISODE2-2 そんなの大昔の話だぜページ15

河に落ちたグリムの救出劇が終わると、ケイト先輩は船にスマホを向けて写真を撮った。

「さっきの船、屋根がついててかっこいいじゃん、写真撮ろっと！」
「三角屋根付きとは、変わった形の船だ。漁をしているようでもないな」
「あれは、熱砂の国の伝統的な渡し舟ですよ。ここの人たちは、あれに乗って運河を往来しているんです。基本的には住民の移動手段ですが、観光客向けの遊覧船としても乗られていますね」
「水上バスみたいなものなんですね」

これなら多分、屋形船みたいな船もありそう。

「さらに、この水路があるおかげで気化した水蒸気が、乾燥を抑えています。運河のない砂漠地帯は、昼は灼熱地帯ですし、夜は、0℃まで冷え込むことがあります」
「うわぁ、やっぱ砂漠って過酷……」
「暑い暑いと思っていたが、砂漠に比べれば、『絹の街』は、過ごしやすいんだな」
「それも、運河のおかげってわけね」
「まさに、運河様々ですね」
「……」

私たちの会話を聞いて、何故かツノ太郎は腕を組んで黙り込む。
機嫌が悪くなってないわよね？うーん、これは感情がわからない。

「どうしたの、マレウスくん？」
「いや……、僕の知っている熱砂の国の情報と、随分違っていて驚いてな」
「どんな風に聞いたの？」
「熱砂の国は雨量が乏しく、国土の大半が砂漠に覆われている。そのため、生活水にすら困窮していたと、茨の谷で学んだのだが……」

ツノ太郎の話を聞いて、カリム先輩はからりと笑った。

「おいおい、そんなの大昔の話だぜ」
「確かにそんな時代もありましたが、熱砂の国も長い年月の中で、発展を遂げていきました」
「なにかきっかけがあったのか？」
「熱砂の国の香辛料や調度品は、他国からとても人気があり、高値で取引をされていました」
「たしかに、熱砂の国のサフランやクミン、胡椒とかの香辛料は評判高いな。俺もよく料理で使うぞ。味を整えるのに、ピッタリの風味で気に入っている」
「カラフルな民芸品も有名だよね。オレ、美術館で見たことあるよ」
「私もスカラビアで何度も見ましたけど、どれも素敵ですよね」

瀟洒なランプや美しく編まれた絨毯。
食器も香辛料も自分にはどれも新鮮に映って、とても興味を惹かれたのを覚えている。