【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる Event Story14 (ページ36)

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そうだ、彼は魔法石なしで大釜を出し続けていた。
体内にブロットが溜まっている可能性がある以上、無理はさせられない。

「そもそも、私以外はマジカルペンないじゃない。どうやって戦う気なんですか？」
「……チッ。草食動物どもが。この俺がついてるって言ってんだろうが。それでもどうしても心配だっつーなら……」

苛立たし気に言ったレオナ先輩は、おもむろにラギー先輩のほうを見た。

「おいラギー」
「ん？」
「そのまま両手を上にあげて飛び跳ねろ」
「「「「？？？」」」」

え、なんでこの局面でカツアゲしてんの、この人？

「え？どうしたんですかレオナさん。こんな緊急時に一体……」
「ラギー。跳べっつってんだよ」
「……………………くううううう！！！！！！」

有無を言わせないレオナ先輩を見て、ラギー先輩は何故か悔しそうな声を出す。
そのまま言われた通り、両手を上にあげて飛び跳ねる。
すると、彼の上着のポケットからコロン、コロンと何かが転がってきた。

「ん？ラギーの上着のポケットからなんか飛び出てきたんだゾ。この、キラキラしてる石って……」
「「「魔法石！！？？？」」」
「き、き、貴様アアァァァァ！！！この期に及んで、まぁーだ魔法石を隠し持っていたのか！！！！」
「しかも沼で使ったときの石より何倍もでけぇ……」
「というか、こんなにいっぱいいつの間に獲ったのよ！！！」

1年組から非難を投げつけられているが、ラギー先輩はそれどころではない。

「ううう……俺の虎の子の魔法石がぁ！ひどいッスよレオナさん！気付いてても黙っててください！」
「コバンザメちゃんホントがめついわ……逆にちょっと感動したかも。アズールと良い勝負なんじゃね？」
「そこは全面的に肯定します」

アズール先輩といい勝負よ、本当に。

「それにしてもさ……これならあのバケモノと思いっきり戦えんね。ワクワクしてきた。やっぱ陸のキャンプっておもしれーじゃん！」
「普通のキャンプにこんなハプニングはありませんから！」

ラギー先輩の持っていた魔法石を手に、みんながアイツと対峙する。

「イシ……イシィィィ………」

アイツは変わらず同じ言葉を繰り返し、今にも襲い掛かりそうな気迫を放つ。

「ええい、こうなったら自棄だ！『オレの』石を取り上げた罪……たーっぷり償ってもらうッスよ！！」
「イシハ、オデノダアアアアアア！」
「来るわよ！」

ラギー先輩の台詞を否定するように叫んだ怪物は、私たちに向かって突進してきた。