【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる Event Story14 (ページ21)

今日:7 hit、昨日:1 hit、合計:7,319 hit

＊ページ21

「オレの命に関わること、オレのお金に関わること、オレの将来に関わること、以外の……『1回限り』……いやこれじゃ曖昧だな。『30分以内に済む』願い事なら聞くッス！」
「その条件を満たすことのできる要望はかなり絞られる気がするぞ」
「ラギー先輩……」

ラギーの対価の内容を聞いて、さっきまで感動していたジャックは頭を抱えた。

「うーん……ま、いっか。稚魚ちゃんたち連れて行くのもそれはそれでハンデになって楽しそうだし」
「「ムッ……！」」
「貴様こそ、僕の足を引っ張ることのないようせいぜい努力することだ！」
「ははっ。言うじゃん。泣いても助けてやんねぇからな？」

なにはともあれ、これで作戦を決行できると思った直後。
ガサガサガサ……！と茂みが激しく揺れた。

「「「！」」」
「グルル……ラギー先輩、ヤツが来ます！」

その時、茂みから巨大な黒い影が飛び出す。
黒い身体に浮かび上がる鈍い金色の模様。頭部には鹿のような角が生え、双眸も模様と同じ色が輝いている。
ラギーたちを見た影は、彼らに向かって獣じみた咆哮をあげた。

「！？アイツが……レオナさんたちを襲ったヤツ……？」

一瞬、咆哮で足が後ろに下がりそうになったが、それでも気合で持ち直す。

「よし……みんな！作戦の通りに行くッスよ！」
「「「おう！！」」」

ラギーの号令に3人が返事を返す。
ジャックは1つに固めた魔法石を握りしめながら呪文を言う。

「『月夜を破る遠吠え(アンリイッシュ・ビースト)』！」

呪文と共に魔力がジャックを包み込み、1匹の狼に姿を変えた。

「ラギー先輩！乗ってください！」
「了解ッス！それじゃあフロイドくん、セベクくん。また後で！」

ラギーが背に乗ると、ジャックは全力疾走で森へ走る。
それを影が咆哮を上げながら追いかける。

「すさまじい速さだ……。影はラギー先輩たちの後を追ったぞ。僕たちも行こう」
「おっけー。2人に負けるわけにはいかねーもんな」

どこか獰猛な笑みを浮かべた2人は、ラギーたちの後を追うのだった。