【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる Event Story14 (ページ17)

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苛々した態度をしたフロイドの言葉に、ラギーはようやく気付く。
キャンプ場にはほとんどの部員がおらず、残っているのはラギーを含めた4人だけだった。

「不覚……」
「向かてくるなにかを避けるのに精一杯で、冷静な判断ができなかった……」
「無事だったのは……フロイドくん。セベクくん。ジャックくん。……オレを含めて、4人だけッスか」
「……。そーみたい。どんな相手なのか見てやろーとしたけど、一瞬過ぎて、オレもよくわからなかったわ」
「例の黒い影の仕業でしょうけど……ちくしょう！あまりに素早くて、なにも反応できなかった！」
「足跡や匂いを追おうにもさっきの混乱でぐちゃぐちゃで、どれがその『黒い影』のものだが……」
「あの金魚ちゃんまでいなくなるってことはさ。……その影ってやつ、相当強いね」

誰もが敵の強さに怖気付き始めていると、セベクがぽつりと言った。

「リドル先輩……。僕を、庇って………。……誰がそんなことを頼んだというんだ！」
「てめー、助けてもらっておいてそんな言い草があるかよ！」
「黙れ！助けて貰う必要などなかったのだ！僕は……僕ならば、脆弱な人間の1人や2人……守ってやれて、当然のはずだったのに……！」
「セベク……」

後悔を滲ませる言葉を吐くセベクに、怒っていたジャックはそれを見てすぐに静めた。

「あーあー……悔しがるのも落ち込むのも後にして！今はどうやったらこの状況から無事に朝を迎えられるかを考えるッス！」

ラギーの一言に、全員の視線が彼に向けられた。

「……オレは、別々の方向へ一斉に逃げるのが一番良いと思う」
「なっ。貴様、逃げるつもりか！？」
「1人だけでも朝まで逃げ延びて、学園長に状況を知らせた方が賢いでしょ！」
「でも……いなくなった奴らのことをこのまま放置なんてできねぇ！」
「そうだ！！ここでリドル先輩を見捨てていくなど……いや、それ以前に敵に背を向けて逃げるなど、誉れ高きマレウス様の護衛の名折れ！シルバーとてこの場にいれば、そう言っただろう！」

ラギーの提案に反対する1年生2人。
しかし、ラギーは怒鳴りはせず冷静に諭す。

「ならここに残ったとして、あの黒い影をどうやり過ごすつもりなんッスか？また同じようにのんびり座って最後の1人が消えるまで待つつもり？」
「「それは……」」

先輩からの正論に二の句が継げないジャックとセベク。

「倒すしかねーじゃん」
「「「！？」」」

しかし、フロイドの一言に全員が絶句した。