特定書-二 ページ15
ぼろぼろと零れる水分を袖の布地に吸わせれば、水気を帯びた羽織が濃く色を変えていく。
「A」
再び鼓膜を震わせる聲音に、緩り顔を上げる。
立上り此方を真っ直ぐに見上げる蒼碧の双眸が綺麗だと。
「独りになるのが厭だってんなら、何回だって俺が看取って遣る。だから精々俺の手が届く処で斃れ」
「.....」
其の宝石が欲しくて手を伸ばしたら、遮る様に手を掴まれて引き摺り降ろされて。
「狡い...。断れないじゃんか、ばか炳五」
自分の袖を諦めて他人の服に顔を埋め涙を拭う非常識な人間を、叱るでも無くあやす彼は過保護だ。
「狡いのはお互い様だろ、ばかA」
本当に莫迦な友人。
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巫子(プロフ) - な、何とも素敵な小説……!色々細かく書かれていて凄いと思います。更新待ってます! (2018年3月3日 7時) (レス) id: c9541627c7 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎。(プロフ) - 三毛猫さん» お褒めの言葉ありがとうございます!細々とではありますが、緩く綴っていく所存ですので気長にお付き合い頂けると幸いです。 (2017年11月18日 20時) (レス) id: 3bc750f878 (このIDを非表示/違反報告)
三毛猫 - 語弊力がすごい…!更新頑張ってください! (2017年11月18日 16時) (レス) id: fa582e3f2e (このIDを非表示/違反報告)
雪兎。(プロフ) - 猫亮さん» 猫亮様:感想下さりありがとうございます!そう言って頂けるととても嬉しいです..!励みにさせて頂きます。御恥ずかしながら全くの創作物でして、意味が伝わりにくい場が多々あるかと思いますが、その際は御遠慮なく御指摘下さい...。 (2017年11月18日 10時) (レス) id: 3bc750f878 (このIDを非表示/違反報告)
猫亮 - 面白いです!文章も粋ですし、読んでいて引き込まれます。花染先生の詩や遺書等は何か参考になされたのですか?続き、楽しみにしています! (2017年11月15日 2時) (レス) id: 33b0ed1287 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪兎。 | 作成日時:2017年11月2日 4時