【名探偵コナン】BloodyMary【黒の組織】

code.28 "夜風" ページ29

風「美味しいです!」
『そりゃよかった』

はふはふ、と炒飯をほお張る彼を、見守る。
やっぱり後輩は可愛い。

『ねぇ、風見』

彼が、ん?とした顔をする。

『全部終わったらさ、またこうやって一緒にご飯、食べようね』

すると、彼は少し考えた後、炒飯を飲み込み、

風「えぇ、もちろんです!」

たいそう元気にそう言った。


.



.



.




風「遺体が到着したようです。」
『了解、直ぐに本庁へ向かう』

風見と温かい炒飯を食べた3日後、その知らせは届いた。

いつもの黒いスーツに着替え、バイクにまたがる。

『...よし、』

フルフェイスを被り、バイクのエンジンをつけ、発信する。

午前2時
人通りは全くなく、信号も全て黄色に変わっていた。

バイクを120キロまで飛ばす。
零に見られたら、どうせまた法定速度を守れ、と言われるんだろうなぁ。

交差点に突入し、グイッと右へハンドルをきると、バイクは地面ギリギリまで傾いた。

私は夜のバイクが好きだ。
誰もいない道を、夜風をきって進む感じ。

1度だけ、景光を後ろにのせたことがあったな。

"A!飛ばしすぎ!怖い怖い怖いー"

『ふふっ、』

懐かしい。

警察庁の建物が見えて、少しスピードを落とし、駐車場へと滑り込む。

裏口には、1人の男の影が見えた。

フルフェイスを脱ぎ、彼らの方へ向かう。

降「相変わらずすごい運転だな」
『フッ...そっちこそ、飛ばしてきたんでしょう?』

金髪の彼がどこか寂しそうに笑う。

降「いくぞ。覚悟はできてるんだろうな?」
『えぇ』

真っ暗な誰もいない廊下に、ヒールの音がこだまする。

降「ここだ」

ドアノブを握る手が震える。
あぁ、あんなに会いたかったはずなのに、今は怖い

見かねた零が、私の手の上に手を重ねて、ドアノブを捻ると、ドアが開いて、大きな白い布が見えた。

意を決して、彼に近づく。

『...死因は』
降「恐らく、心臓を撃ち抜いたことによる失血死。」
『心臓?』
降「あぁ。ヒロは、胸ポケットに入っていた携帯ごと拳銃で撃ち抜いたんだ。」

まさか、追い詰められた末の、自害...

彼の顔にかけられた白い布に手をかけ、捲る。

彼は今にも起きそうなくらい、穏やかに眠っていた。

『ひろ、みつ』


彼の頬に手を伸ばし、優しく触れる。

この前触れられた時の温もりはなく、彼はすっかり冷たくなってしまっていた。


『電話があったの』

零が眠る景光を見つめる。

『愛してる。幸せになれよって』

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