【名探偵コナン】BloodyMary【黒の組織】

code.29 "諸伏景光" ページ30

その瞬間、零がバッと顔を上げ、私を見る。

『なんで...なんでそんな大事なこと、こんなギリギリに言うの?』

零が私から目を逸らす。

ぼろぼろと涙があふれる。
絶対に泣かないって、決めてたのに、

『ちゃんと、話したかった』
降「A、」


『面と向かって、好きって言いたかった』


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ｰｰｰｰｰ

風「降谷さんっ!」


部屋の横で下を向いて壁にもたれる彼の名を呼ぶと、彼は酷く疲れた顔をしていた。

降「...風見か」

そう言って彼は疲れたように目頭を抑えた後、部屋に背を向け、俺を見た。

風「Aさんは?」
降「中だ」
風「...分かりました」

そう言って中に入ろうとすると、腕を掴まれる。

降「...今は、やめろ」

その瞬間、ドアの向こうから叫び声に近いような嗚咽が聞こえてくる。


"ひろみつ、ひろみつ、"


降「僕も、今出てきたところだ。」


そう言って彼は自分に背を向ける。

降「はぁ...俺も、人前じゃ泣かないって決めてたんだけどなぁ」



「こんなの、無理だ」



そうして彼は崩れ落ちるように顔を腕にうずめ、壁にもたれかかった。




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ｰｰｰｰｰ

ドアが開いて、誰かが入ってくる気配がする。

「落ち着いたか」
『黒田さん...』

黒田さんの後ろに零と風見の姿も見える。

『...聞こえちゃいました?』
黒「...何も聞こえてないことにしといてやる」

零の目が赤い。
あぁ、彼もきっと、ひっそり隠れて泣いたのだろう

黒「Aの潜入捜査を、公にすることになった。こんな事態になった以上、お前の身の安全を考えると、そうするしかない」
『そう、ですね』
黒「よって、午後2時に本庁に来てもらえるか?捜査員達にお前を紹介する。」
『了解です』
黒「それと」

黒「あまり背負いすぎるなよ、"マリー"」
『...了解です。』


黒田管理官が風見と部屋を出ていき、零と2人、取り残される。


『零』
降「なんだ」
『零は全部終わったら、1番に何がしたい?』

そう尋ねると、彼は少し考えて、

降「まずは、あいつらの墓参りに行ってやりたいな」
『そっか』
降「そういうAは？なにかしたいことあるのか?」

反対に尋ねられて、うーん、と悩む。

『私は、』


『零と、写真が撮りたい』


『本当は景光とも3人で撮りたかったんだけど...こんなことになっちゃったから。』
降「俺達、全部写真も処分しちまったもんな」
『そうね』

全てが終わったら、か。



早く、終わらせないとな。

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