友達よりもっと上の二藍 ページ39
「ちょ、凛！？」
私は訳の分からないまま凛に手を引かれて走る。
私と凛は同じレーンで走るのだから私たちが借り合うのは不正ではないのだろうか。それに私のお題も手に入れていないのに。
自由になっている方の手から覗く、“大切にしているもの”というお題が目に入る。
私の大切な物……
一瞬のうちだけれど頭を捻って考えても簡単に見つかるはずもなく、私の頭の中は凛でいっぱいになっていた。
これ、片方が失格になったらどうしよう。そんな考えがふと頭を過ぎるが、実況席から私たちに対して歓声か悲鳴か分からない声が聞こえるのできっと問題は無いのだろう。
そうとなれば凛に引かれていた体を起こして凛に置いていかれないよう自分の足で走った。
観客席の女子生徒から反則だとかなんだとか聞こえるけれど無視をして走った。
とびきり恥ずかしかったけれど、凛が私の手を引いてくれるから不思議と動けていた。
凛が1位、私が2位という結果で走り切り、マイクを持った先輩が近付いてきた。
「お題聞いてもよろしいですか？」
えっ……と私は絶句する。
大切にしているものというお題で彼ですなんて言ってしまえばそれは告白と同義なのでは？
迷っていたが、凛と先輩の2つの視線を感じ私は答えた。
「大切な、友達…です。」
本当は好きな人だけれど……
「おお！素敵な友情ですね！」
私の本当の嘘のお題に対してオーバーにリアクションをとった先輩。将来はそういう道が向いているのでは無いだろうか。
「次、1位の糸師くんは何ですか？」
先輩は流れるように凛へマイクを向けた。
そうだ、凛。凛のお題は何だったのだろうか。私を借りるということは、無愛想な人？それとも、友達、だったりして。
後者なら嬉しいな、なんて思った。
全校の女の子が気になる所ではないでしょうか、と付け加えた先輩に向かって、凛は鋭い眼差しを向けた。
「言いたくねぇ」
ひっと肩を揺らした先輩に、凛の肩を小突く。
「先輩に対してそんな態度とらないの。」
私がそういうと私の顔を横目で見つめてふんと鼻でため息をついた。
言いたくない、ということは私が聞いて傷つくお題だったのだろうか。少なくとも友達、なんて良いものではなかったのだろう＿＿。
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名無し(プロフ) - 真昼さん» コメントありがとうございます。意外と凛視点が需要あるようで良かったです。これからも応援して頂けると幸いです^^* (2023年1月30日 16時) (
レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - するめさん» するめさん、続編の方にもコメント頂けて嬉しいです。いつも応援本当にありがとうございます。凛視点はいずれ書きたいと思っていましたが想像よりも長くなってしまいそうです（笑） (2023年1月30日 16時) (レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 初コメ失礼します！凛視点めちゃくちゃ好きです！！最後まで応援します！ (2023年1月30日 9時) (レス) @page2 id: 3174c03de1 (このIDを非表示/違反報告)
するめ(プロフ) - 続編おめでとうございます〜!!凛視点めちゃくちゃ最高です、、、このお話ほんとに大好きです! (2023年1月30日 5時) (レス) id: 85ee5a5c1b (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - お酢雨さん» ご指摘ありがとうございます。修正いたしました( _ _ ) (2023年1月29日 22時) (レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無し | 作成日時：2023年1月29日 20時
