last.5 お伽噺 ページ8
ASide
「…子供じゃないですよー」
「いいえ。子供です」
フランさんは、どうせ、子供ですよ とさっきとは矛盾したことをぼやく。
そして 思い出したように、
「で、なんで読めもしないくせに読むふりをするんですかー？」
と、また問う。
「本を読むのがスキだからです」
なんてつい、悪戯心で意味のわからない答えを返した。
「さっき、絵本は嫌いだって……」
「嫌いですよ？」
…………沈黙。
長い静寂の後、フランさんは、
「どういう意味ですかー」
と、ちょっといじけた風に聞いた。
私はそろそろ可哀想になってきて、ひとつ謝ってから、
「…………昔。私がまだ幼い頃、父の隣でこうして絵本を読んでたんです」
ぽつり。語りだした。
「その時はこの目を使うことは駄目って“約束”していて だから使ってなかったんです。
目隠しをしてなかったので絵本を読みたい放題でしたよ」
コツン……ってフランさんの体に頭を預けた。
昔、父にそうしたように。
フランさんは文句を言わずにそれを受け入れてくれた。
だから私は安心して、言葉を紡いでいく。
「忙しい父は仕事の合間に、絵本を読んでいる私に『何をよんでるの』って構ってくれて…。
極希に読み聞かせてくれたんですよ。私、嬉しくて嬉しくて。読みもしないくせに絵本をもって読むふりをしてたんです。
……いつも。時間の自由があるかぎりは」
「……昔は可愛い子供だったんですねー」
フランさんは私の頭をポンポンと叩いた。いや、撫でた？
まぁ、どちらにしろフランさんは私の頭に触れて、
「読み聞かせてほしいんですかー？」
なんて言う。
「って言いましたが、もう時間ですー」
「………」
「そんな顔しないでくださーい。また明日、読み聞かせてあげますからー」
ふわっと カーテンが風に舞った
そして、もうそこにはフランさんの気配がなく、ただ頭に触れられた感覚だけが残った……。
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紅うさぎ(プロフ) - 真樹さん» ありがとうございます！アフターエピソードの件ですが、すでに『REBORN † 記念日には夢主のextra』という作品があり、記念日などだけカエルさんと姫様が出てきます(笑) よかったら、そちらへどうぞ♪ (2016年11月22日 21時) (
レス) id: 3b29655bc4 (このIDを非表示/違反報告)
真樹 - 面白かったです。最後悲しすぎました(泣)・・・もし、よろしければ姫が生きていたらみたいなアフターエピソード作っていただけませんか？ (2016年11月22日 1時) (レス) id: e87bd397ef (このIDを非表示/違反報告)
紅うさぎ(プロフ) - FRANさん» ありがとうございます！私もおなじく、フランらぶ！です(笑) (2016年8月19日 12時) (レス) id: 3b29655bc4 (このIDを非表示/違反報告)
FRAN - 面白かったです！フラン君LOVEなんですよー！！ (2016年8月18日 16時) (レス) id: aa7090aeed (このIDを非表示/違反報告)
紅うさぎ(プロフ) - 呪月千影さん» ありがとうございます(笑) (2016年7月2日 13時) (レス) id: 3b29655bc4 (このIDを非表示/違反報告)
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