正しい彼とやさしいあなた ページ7
ドアノブがガチャリと回り、開いた扉の隙間からコナンくんがひょこりと顔を出す。
「こんにちは、昴さん」
「こんにちは、コナンくん。君に話があってね」
「……そのお姉ちゃんがそうなの?」
その、と言いながらコナンくんがわたしを見る。わたしはというと、昴の腕にしがみついていた。特に意味はない。至極なんとなくである。
そういえば、いつの間にかコナンくんに連絡を取っていたらしい。まあ事前にアポを取らないと予定がかみ合わないだろうけど。
「……随分懐かれてるみたいだけど」
「ええ、まあ。」
「んー……とりあえず、入って?博士は今いないけど」
「おや。そうなんですか?」
「うん。帰ってくるのは夜中になるし、灰原が家にいるから、一応ね」
「なるほど…じゃあ、少しお邪魔しますね」
「うん。」
うーん、怪しんでる怪しんでる。そりゃそうだ、昴が秀一さんだと知ってるコナンくんにとっては、わたしみたいな得体の知れない存在は警戒するに値するだろう。
「昴。わたし、外に出ていましょうか?」
「え?………いえ、大丈夫ですよ。一緒に来てください」
「……うん。」
ぽすん、と昴に頭を撫でられる。居心地が悪く思いながらも、ぐり、と昴の背中に頭を押しつけて誤魔化した。
小さく深呼吸をして、昴から離れる。手は…繋いでおいた方がいいか。自分から解いたら余計怪しまれるかもしれない。
疑われることも、怪しまれることも、いい加減慣れなくてはいけない。異物を見る目で見られるのが嫌でずっと一人で居たけれど、これからはそうはいかないんだ。
(ああ、気持ち悪い、な。)
「A」
「え、」
ちゅ、なんて可愛い音と額に柔らかい感触。近い距離にある昴の顔。
え、いや。まさか。え?
「……………うええ?!」
ぶわっと顔が熱くなった。でこちゅーしやがったこの人!普段!普段そんなことしないくせに!
「ななななななに、」
「…もう一回しますか?」
「しなくて!いいです!」
そんなサービス精神は今は求めてない!
あーくっそ、しょげてたのバレてたってことか…恥ずかしい。くすくすと可笑しそうに笑う昴は、わたしの背中に手をやって促すようにそっと押しながら歩き出す。
渋々額を抑えながら、わたしも促されるままに歩き出した。コナンくんは昴の行動やわたしのリアクションに驚いたのか目を丸くしていて、動き出したわたし達に出遅れていた。
(そんなふうにわたしに優しくしてくれるから。)
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