これからと決意と ページ18
話し終わった後は暫し、沈黙が続いた。ジョディさんが動揺しているのが手に取るように分かる。ゆらゆらゆらゆら、哀と怒を行ったり来たり。
嬉しいと、思ってしまう。彼女はわたしの為に悲しんで、怒ってくれている。
「………事情は、分かったわ」
「はい。」
「彼女が貴方を手伝いたいと思っていることも、分かった。」
「ああ。」
「……でも。その能力をこの目にしない限り、私は賛成できないわ」
わたしは頷く。それもそのはず、掛かっているのは彼の、秀一さんの命で、はたまたFBIの威信だ。わたしという異物を混ぜ込んでどんな化学反応が起きるのか。いきなり危ない橋を渡る必要はない。
「テストを、受けさせてください。全力でいきます」
「オーケー、話が早くて助かるわ。私の上司には私から話をしておく」
「ジョディ」
「シュウ。ただの確認よ。そこで有能だと判明すれば、反対する人間はいなくなるの」
最初で、最後よ。
真っ直ぐに自分を見つめてくるジョディさんに、秀一さんは沈黙し、深いため息をついた。
「…それで?Aに何をやらせようと言うんだ?」
「そうね…そこは私の一存では決められないけれど…経歴を聞く限りではそう迂闊だとも思えないから。簡単な仕事をシュウに任せるわ。後は、Aちゃんがどれだけシュウをサポート出来るか、ね。」
私達が追いかけているのはひとつの組織だけではないから、とジョディさん。それはそうだ、悪い奴が彼らだけだったらもっと事は単純明快だったのだけれどそういうわけにもいかない。
組織として活動しているのは、黒の組織、だけじゃない。早いとこ潰していきたいな、なんて、わたしは人知れず考えた。わたしの思惑も、わたしの計画も、今、彼らに伝えるつもりはないけれど。
わたしも研究所に付け加えられたこの力だけではなく、もっと精進しなければと思うのだ。それは例えば、経験。土壇場で体が勝手に適切に動くように、スムーズに。…知識は覚えられる気がしないから秀一さんに任せるけれど。
「わたしも、覚えなきゃいけないこと、たくさん、ですね」
「うん?」
「いえ、こちらの話です。」
頑張ってサポートしますよーと笑えば、秀一さんは少し不安げに眉尻を下げて「無理はするなよ」とわたしの頭を撫でた。
ああもう秀一さん好き!わたし超頑張ります!
「……昨日の今日だと言うわりには、二人とも仲が良いわよね。」
「ああ。Aとは昨日一緒に寝たからな」
「は?!」
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