熟睡と洋服の調達 ページ15
「………」
「………」
「……いつ寝たのか記憶がない」
「……すいませんわたしもありません」
「「…熟睡した……」」
目が覚めることがなかったのだから何事もなかったんだけれど。
眠たげにしている秀一さんがなんだか可愛らしくて眺めていると、わたしの視線に気付いた彼にぽふんと頭を撫でられた。
「流石だな、A。」
「……わたしまだ何もしてませんよ」
「熟睡できただけでも大きな進歩だ」
「どんだけ不眠症してたんですか」
……秀一さん隈結構濃いからなんとなくわかりますけど。多分仕事してたらのめり込んじゃうタイプですよね。
二人でベッドの上から降り、廊下へ出て洗面所へ歩く。
「ふあ…ふ。…Aの日用品や着替えなんかも、買いに行かなければならないな」
「そうですねえ…人間生活に溶け込むなら、流石にそこは揃えないと…んん。」
ぐぐ、とひとつ伸びをして、洗面所で手早く顔を洗う。タオルで拭ったところで「ん」と使い捨ての歯磨きセットを差し出されて、思わず彼を見上げた。
「……なんでこんなホテルにあるようなのがあるんですか?」
「来客用にストックしてあるらしい」
「…流石豪邸…ありがとうございます。」
「ああ。」
………なんかこうやって並んで歯磨きしてると凄い親子みたい。似ても似つかないけど。ちょっと恥ずかしいなおとうさんめっちゃイケメン。
しかも超子煩悩、みたいな。秀一さんの彼女ならきっと美女なんだろうな、それ以外が想像できない。
洗顔が済んだらお着替えなんだけれど、服、どうしようかな。昨日着てた服はとりあえずで洗濯カゴの中に突っ込んじゃったけど。
うーん、と考え込んでいると、先に着替えを済ませたらしい秀一さんが携帯電話でどこかに電話を掛ける。スマホだ。
「もしもし。ジョディか?ああ、おはよう。急で悪いんだが、洋服の調達を頼みたいんだ。いや、俺のじゃない。」
え、なにジョディさんパシリにしようとしてるんですか秀一さん。それならわたしTシャツのままでいいんですけど。秀一さんのだけど。
ちらとわたしを見た秀一さんはふむ、と少し考え込み、再び口を開く。
「14、5歳の子供の服を頼む。Tシャツとジーンズで構わん」
あっ切った。秀一さんそれ絶対後が面倒くさいやつ。絶対ジョディさん怒るよ。わたし知らな、しょうがないな庇うよ!
まあ頼まれてもいないけど。
「……大丈夫なんですか?今の電話」
「……まあ、怒られるだろうな」
「えー」
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