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「風邪……?あの、悪だとか菌だとかは全て追い払うバリアが施されているような、アイツが風邪?」
「言いたいことはわかるが、まぁ、アイツもちょっとは人間だったということだろう。」
「風邪ってどの程度なのかなー。あのいつもは罵ってもいくら罵倒してもけろっとしてるAチャンでも弱くなったりすんのかなー。あー、なんか見てみたくなってきたわー。」
古橋や原がどことなく面白がったような顔をしているなか、その奥の山崎だけは目を見開き、口をぽかんと開けて固まっていた。
罵倒しまくりたいだの、弱ったAをおちょくりたいだの、今がチャンスだの言っている彼らを手前(俺も賛成していた)山崎は硬直から抜けた後、ぽつりとこぼす。
「…………見舞いとか、行った方がいいよな」
たぶんコイツは100%心配と善意からだったんだろうが、
それを裏手ととった他メンツはきらりと目を光らせて大きく頷いた。
「いいねぇ、ハバネロとか持ってく?辛いのってテンションあがるし体調悪いときにはいいんじゃない?」
「何を言ってる、原。そんなものでは物足りないよ。カエルがいいだろ。ヒキガエルをモチーフとした青蛙神という神は縁起に良い福の神だし、それを倣おう。」
「瀬戸は優しいな。成程俺もそれを見習ってトカゲにでもしよう。神の使いとも呼ばれる神聖なトカゲならアイツもすぐに元気になるはずだ」
蛇だワニだゴキブリだと騒ぎだす霧崎第一バスケ部のスタメン三人__原、瀬戸、古橋をよそに、山崎だけがメモ帳に「冷えピタ、りんごジュース、みかんゼリー、卵、天然水……」と書き出していく。
山崎はこの腐った性格の奴らしかいない霧崎第一の選手の中ではまともなほうだ。ラフプレーもあまり進んで行わないし、Aの熱心な説教には頷いていることもある。
それでもラフプレーを指示すれば従う男ではあった。だがやはり根は素直でそこそこ真面目な男なのだろう。この部室の中で唯一彼女を心配している。
____普通なら、此処で山崎をあの女の元に行かせるのが主流であり、良心的な態度なのだろうが、もちろん性格クズ代表の俺がそんなことをするはずない。
「フッ……お前らの要望全て聞き入れたうえで、俺が行ってこよう。」
あの忌々しい女を見返せるチャンスに、俺____花宮真が手をあげないはずがないのだ。
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鎖月零(プロフ) - Flower*さん» flower!ありがとうございます!!短編の夢主は同じ夢主で書くのが普通だということを今の今まで知らなくて……全員バラバラにしてしまいました(笑)私も短編の方が書きやすくて軽くかけるので楽しかったです!続編頑張ります! (2018年2月26日 18時) (レス) id: e5c976073b (このIDを非表示/違反報告)
Flower*(プロフ) - 1完結(?)おめでとうございます!甘々で読んでてドキドキしてしまいました(*ノωノ) それぞれのお話の夢主ちゃんたちも個性豊かで面白し、何より短編なので読みやすいです。やっぱり零すごい……。続編の方も首を長くして待ってます! (2018年2月24日 0時) (レス) id: 4d95f4e8a2 (このIDを非表示/違反報告)
黛パフェ(プロフ) - 鎖月零さん» めっちゃ楽しみにしてます!!! (2018年2月18日 18時) (レス) id: d3f83fb575 (このIDを非表示/違反報告)
鎖月零(プロフ) - 黛パフェさん» うそぉ……本当に恥ずかしいです(笑)規制かかる系の甘々はあまり得意分野ではないのですが、楽しんでいただけると幸いです……!甘くなるように頑張ります (2018年2月18日 18時) (レス) id: a33d034fdf (このIDを非表示/違反報告)
黛パフェ(プロフ) - 鎖月零さん» 今でもたまに見たりしますよ!黄瀬くんの好きですー!規制とかあまり気にしないタイプなので別のアカウントで見に行きますねー! (2018年2月18日 1時) (レス) id: d3f83fb575 (このIDを非表示/違反報告)
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