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どうやら、心を奪われているようだ。
あのときの約束に。
あのときの仕草に。
あのときの言葉に。
あのときの瞳に。
そして、なによりも。あのまっすぐな心に。
でも、どうしてかな、君を呼ぶ声が、顔がわからないの。
「では、ここまでだ！二人とも頑張れよ！」
「ありがとうA、いくよ。オールマイトもありがとう」
「ははっ、拒架くんも相変わらずだなぁ」
雄英高校のヒーロー科は毎年300を超える倍率を誇る。定員は一般入試36人、18人ずつの２クラスしかない。
今年は一般入試、推薦枠、特別枠とあるから人数は増えている。
ここまでの人気の一部は現役で活躍中のヒーローたちが教鞭を奮っているからも理由になっているだろう。
あの誘拐事件で助けてくれたのはオールマイトらしく、元々、父親の譲と知り合いらしかった彼と家族ぐるみの付き合いになっていた。
そして、Aと拒架は受験を終え無事に雄英高校のヒーロー科に入学していた。
「あ、Aちゃんに、拒架くん？」
「出久くん？」
出久とAは、町中で出会っていた。Aもヒーローが好きで事件現場に行っていた時に出久と仲良くなり話をするようになった。そんなAがよく話す出久と拒架が次第に仲良くなるのに時間はかからなかった。出久に個性が現れたと聞いたときは驚いたがそれよりも、嬉しさの方が勝ちAと出久と拒架の３人で公園でケーキを食べたのも良い思い出だ。
「Aちゃんたちも、ヒーロー科なんだね」
「そうなの、よろしく。」
「あ、もさもさの！」
後ろにいたのはボブカットのかわいい女の子だった。彼女は出久と知り合いのようでAと拒架は先に教室の自分の席についていた。
ざわざわとした空気の中担任の先生から体操服に着替えてグラウンド集合という指示をもらったクラスメイトたちは更衣室に行き、着替えた後にグラウンドへと走っていった。
「なにするのかな？」
「さぁ？でもまぁ、大体わかるよね」
「…体力測定、かなぁ？」
Aと拒架の予想通りに体力測定が始まった。ただ、今までやったことのない個性を使用した体力測定で、色々な飛び抜けた記録が出ていた。無重力で無限の記録がでてみたり、50メートル走で3〜5秒台が連発したりしている中、Aと拒架は個性を使った測定でも平均的な記録に落ち着いていた。
入学式のあるこの日は体力測定で終わり、クラスメイトに軽く挨拶をしてから拒架と帰路についた。
続→
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作者名：唯星 | 作成日時：2017年12月20日 21時
