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「焦凍？」
「A…体調でも悪いのか？」
「ううん、ちがうの。焦凍は、お見舞いに？」
たまたま、出口で会ったふたりは、お互いに心配事が晴れたような顔をしていた。
「どっか行く？」
「…そうだな。行くか」
そのままバスに乗り、街へと向かった。お互いに少しずつ話す姿は回りから見ると少し不思議な空間だったのかもしれない。
「ずっと、お礼が言いたかったんだ」
「お礼？お礼をもらうようなことしてないよ？」
「いや、してくれてる。昔も、今も…」
ありがとう。と笑った焦凍に、早くなった鼓動に、なんだか照れ臭くなった自分に、こんな時に限っておしゃれしてないなんてなんて、場違いな事をAは思っていた。
「こ、ちらこそ？」
「こちらこそって…ははっなんだそれ」
「わ、笑うなんて酷い」
それから二人は足りないものをお互い買ったり、お昼を食べたりして帰路についた。
「A」
「なぁに？」
「…いや、うん。また、買い物に付き合ってくれ」
クールな顔に戻った焦凍に笑ってyesと応えると送ってくれた事にお礼をいって家のなかに入っていった。
玄関のドアを閉めたAはそのままずるずると座り込んだ。
「…え、なに、これは。デート、なの？」
「…ねぇ、A。なにやってんの？」
「ひっ、あぁ、拒架」
アイスを食べながら首をかしげた弟に抱きつくようにくっついた。うざいというような顔をしながらも支えて歩く拒架に、ついていきリビングに入っていった。
「ねぇ、後で話聞いて」
「はぁ？！」
「ね、入学前みたいに。良いでしょー？」
ずるずると引きずられながらも無理やり拒架のアイスを奪って食べたAは拒架に睨まれながら食卓についた。
「拒架、ご飯前なのに食べてたの？」
「そうだよ、A食べるとご飯食べれねーじゃん」
「あー、ごめんなさい。」
「はぁ？！焦凍とデート？！」
「ちが、いや、わかんないけど」
「…で、何迷ってんの？」
「え。わかんない」
は？っと少しイラついた拒架の白い目がこちらを向いた。よくよく考えるとまた。と言われただけで明日いくわけでもなかった。
「別に明日じゃないから大丈夫だった」
「…まぁ、なんかあったら言って。ねーちゃん」
「うん」
久しぶりの家族、兄弟との会話を楽しんだりして体育祭後の休日２日が過ぎていった。
３・体育祭での奮闘
(それわたしの！)
(はぁ？名前かいてねーじゃん！)
(かいてますー！Aって！)
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作者名：唯星 | 作成日時：2017年12月20日 21時
